2022年5月28日土曜日

反転

時折、NHK BS1 国際報道2022を眺めています。先日、中国上海のロックダウンについての報道を見ました。


新型コロナ感染を収束させるため、一ヶ月にも及ぶ長期に渡って外出制限や感染者の隔離が上海市当局によって強制的?半強制的に続けられていた頃です。日々の生活物資や食料品が市民に行き渡らない状況、市民が居住する集合住宅を隔離施設にするため接収するとか、当局のそういった施策に対する市民の不平不満を伝える内容でした。

で、翌日だったか、二、三日後の、午前7:00〜放送の同じくNHK BS1のワールドニュースです。この番組は、NHKが提携?する世界の放送局によるニュースを現地でのオンエアそのままに放送しています。中国のニュースは中国CCTVで上海におけるコロナ対策を取り上げていました。この中国CCTVはウィキペディアによると、中国中央電視台という中国の公共放送テレビ局とのこと。
アメリカ合衆国国務省は2020年6月、人民日報は独立した報道機関ではなく、中国共産党の支配下にあるプロパガンダ機関として諜報活動と世論戦、情報戦を仕掛ける宣伝機関であるために、『人民日報』『中国新聞社』『環球時報』とともに「外国使節団」と認定する。
概ね予想通りですが、御用放送である中国CCTVによる上海のロックダウン施策の報道は、”万端支障なく”、”極めて順調に”、”市民は何ら不平なく”といった内容でした。

同時期の同一事象を伝えるにしても自国の公共放送と、国外放送局では報道内容に顕著な違いが認めらます。公正や中立を前提にすれば驚きの差異ですが、プロパガンダと報道で各々の目的が異なりますから、まぁ、腑に落ちます。

このことを裏返す、つまり中国を日本に置き換えると中国CCTVは日本のNHKという公共放送になるわけです。日本国内の事象をNHKはどう伝え、それを例えば英国BBCはどう伝えたか、隔たりがないはずはなくそれがどの程度か、というのはやはり気になります。日本の公共放送ですから、公益に資すると言ってもあくまで日本の公益に資することが目的の放送です。この日本の公益と国益が入り混じって、誘導や個人の軽視、中立性や公正性に疑義が生じる事例も散見されます。

身びいきや自己防衛が避け得ないことは承知しています。BS世界のドキュメンタリでも体制や政権に批判的な調査報道は殆ど自国外のメディアによるものです。

”自分たちは問題ない”、”間違いない”とする無謬性の下、中立とか公正を自負する組織こそが最も危険です。正しく他山の石としてほしいものです。

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