2018年8月28日火曜日

上前5

前のエントリで記したように地方税、公共料金のクレジットカード納付に指定代理納付者制度という仕組みが適用されています。この制度は元々、地方税、公共料金をクレジットカード納付するに際して、生じる問題を解決するために設けられた制度と捉えています。
クレジットカード決済の導入による公金収納のサービス向上(知的資産創造 p.18 12.2006)
地方自治法の改正②(自治大阪 p.37 10.2006)
現実となった税金のクレジットカード納付
に拠れば、クレジットカード納付は債務であること、決済日時と納付日時、納付期限のズレ、定率手数料と手数料負担者といった問題が挙げられています。

物品を購入、或いはサービスを受ける際、対価をクレジットカードで決済するということは、買い手であるカードの利用者は債務を負い、売り手は債権を有することを意味します。売り手はこの債権をクレジットカード会社に譲渡して代金を回収し、クレジットカード会社は後日カードの利用者から代金を回収します。ただ、地方自治体が公金債権を第三者に譲渡するということは、徴税を該第三者に委ねることに結びつくため、該債権の第三者への譲渡は地方自治法の規定によりできないとのこと。

そこで、第三者への公金債権の譲渡ではなく、公金の納付を第三者が立て替えているとし、代金をカード利用者から回収すると解釈することで、公金のクレジットカード納付には法的矛盾はない、とされているようです。

この法的妥当性を明確にするために指定代理納付者制度が設けられたと捉えることは勿論できます。ただ、実はクレジットカード納付における手数料に関わる問題への対応が本来の

主たる目的ではなかっただろうか、と見立てています。

税金や公共料金のクレジットカード納付における手数料について、上記リンクから引用しますと、
2)クレジットカード手数料
現在、クレジットカード利用の手数料(以下「カード手数料」という。)は、いわゆる加盟店が負担することが一般的ですが、改正法におけるクレジットカード納付の制度化は、納付方法の多様化や住民の利便の向上、更には徴収効率の向上などを図る目的であり、こういった目的を達成するためには市町村による一定の費用負担はやむを得ないと思われます。現行においても、口座振替やコンビニ収納に係る手数料は市町村が負担しているところであり、カード手数料についても市町村が負担することになるものと考えられます。一方、カード手数料の水準については、カード利用者・クレジットカード会社・加盟店の三者間で決定される事項であり、各市町村においてクレジットカード納付の導入効果と経費を比較し、適切に判断することが重要です。その際、口座振替やコンビニ収納による場合の手数料との比較や収納効率などを十分に踏まえる必要があると考えられます。

(3)課 題
課題は端的に言って、手数料に尽きると考えられる。通常のクレジットカード決済のルールに則って、当然のことながら、税のクレジットカード納付の場合にも一件あたりの手数料が定率でかかることとなる。(中略)すなわち、今回導入しようとする「定率」の手数料という概念がこれまで公共にはなかったものである。当然、クレジットカード決済を提供する民間企業側からすれば、この定率制という基本スキームは維持されなければならないものである。一方で、総務省は、「地方団体がクレジットカード会社に対して手数料を支払う契約とする場合は、当該手数料の水準については、他の支払手段における手数料との均衡を考えながら、当事者間で適切に決定していただくべき」という課長通知を提示しているところである。今後、手数料の利用者負担も含め、どのように負担先を決定していくかということが大きな課題となってくることは疑う余地がない。
あります。

銀行・郵便局の口座振替及び窓口収納とコンビニ収納といった他の納付方法の手数料はいずれも定額制で、銀行の口座振替及び窓口収納で10円/件、郵便局の窓口収納で40円/件、コンビニ収納で60円/件と見積もられています。

これが例えば、50,000円の自動車税を1%の手数料でクレジットカード納付しようとすると、手数料は500円になるわけです。他の納付方法で求められる手数料と著しい乖離があり、当然その手数料を誰が負担するのかという話になります。

で、このクレジットカード納付の手数料負担を納付先である国税庁、地方自治体が柔軟に、言い換えれば都合良く差配するための仕組みが指定代理納付者制度ではないか、ということです。

今、例えばYahoo!公金支払いを利用したふるさと納税と固定資産税のクレジットカード納付を考えてみます。ヤフーが指定代理納付者です。ふるさと納税はYahoo!公金払いが利用できる適当な地方自治体、固定資産税は100,000円を愛知県春日井市に納付するとします。この時ふるさと納税の納付には手数料がかかりませんが、固定資産税の納付には1,026円の手数料が必要となります。

同一の指定代理納付者経由で公金を納付しても手数料が不要な場合があるということです。まぁ、ふるさと納税では納付した寄付金の中から納付先自治体経由でヤフーに手数料が支払われているであろうことは想像に難くないわけですが...表面上納付者に手数料が課せられない形になっています。

又、上述のように、”口座振替やコンビニ収納に係る手数料は市町村が負担しているところであり、カード手数料についても市町村が負担することになるものと考えられます”といった見方があるにも関わらず指定代理納付者経由の納付では手数料は納付者負担です。しかも手数料は納付額の1%程度で銀行や郵便局の口座振替、窓口収納、コンビニ収納の手数料よりかなり高額となる場合が多いはずです。

このあたりの整合しない部分を納付先機関に問い合わせても、
”それは実質的な納付者である貴方と指定代理納付者との間の取り決めで、当方は預かり知らぬこと。
そういった姿勢を各自治体は採れるわけです。手数料に纏わる様々な問題、矛盾を全て”貴方と指定代理納付者”に担わせる、このことこそが 指定代理納付者制度の実の趣旨ではないでしょうか。

更に言えば、以前のエントリで記しましたが、カード加盟店のカード利用者への手数料上乗せ請求は、利用金額や時間帯による利用制限と共に、店がクレジットカード加盟店としてカード会社と契約する際の規約違反に当たります。この規約に抵触という話も、納付者と納付先の間に指定代理納付者を咬ますことで、”納付先が手数料を徴収しているわけではない”という形になっています。クレジットカード納付以外の納付方法では手数料負担は納付先なんですが...

納付者が(公金+手数料)を指定代理納付者に支払うことと、納付者が公金を地方自治体等の納付先に支払うことは同じではないということなんでしょう。たとえ、納付先の収入が変わりないとしても。

少し検索してみると、
「国税クレジットカードお支払サイト」が手数料を徴収するのはカード加盟店規約違反では? 国税庁の人に聞いてみた
納税するのになぜシステム利用料を払わなアカンの~?
といったサイトが見つかりました。まぁ、クレジットカード納付で、カードの利用者に手数料を負担させるクレジットカード会社と納付先の取り決め、これが指定代理納付者制度ということです。

とまあ、手数料を納付先の公共団体ではなく、カードの利用者に負担させる法的な根拠は該制度によって与えられたわけですが、この制度によって著しい官民格差が問題として浮彫になります。

例えば、民間の飲食店であれば3〜5%とされるクレジットカードの決済手数料は事業者が負担することになっています。決済手数料をカード利用者に上乗せ請求することはカード会社との契約違反になることは既に記しました。その結果食店で事業者は利益の圧迫、提供する料理の劣化、価格の値上げのいずれかを余儀なくされています。

税金や公金の納付先である国や地方自治体等の公的機関なら指定代理納付者制度の下、手数料をカードの利用者に負担させることは認められるのか、という話です。官民の公平性という観点から疑義を抱かざるを得ません。

国税庁のクレジットカード納付のQ&Aというサイトに、
Q1-5 なぜ利用者が決済手数料を支払わなければならないのですか。
(答)
クレジットカード納付は、国税庁長官が指定した民間の納付受託者が、利用者から納付の委託を受けて、立替払いにより国に納付する仕組みとなっています。
 このため、納付受託者が国へ納付した後、利用者から代金が支払われるまでの間、一定のタイムラグが生じることとなり、納付受託者は貸倒リスクを負う一方、利用者は納付繰り延べなどの利益を得ることとなります。
 決済手数料は、このような納付受託者のリスクや利用者自身が享受する利益に対して納付受託者が決定しているものであることから、利用者自身がご負担していただく必要があります。
 なお、決済手数料は、国の収入になるものではありません。
というQ&Aがありますが、”納付受託者のリスクや利用者自身が享受する利益”は民間事業者でも変わりないはずですから、これが優遇の理由にはなり得ません。”決済手数料は、国の収入になるものではありません。”とありますが、銀行や郵便局からの引き落としや振替、コンビニ収納では納付に関わる手数料は納付先機関が負担しているはずであり矛盾を感じます。

ここの処、クレジットカードの決済手数料を巡る記事が目につきます。事業者の手数料負担の重さを如実に示しています。
コストコvsアメックスの再来? 激化する米クレジットカード戦争
目の前に来たキャッシュレスの時代
好調・串カツ田中が、あえて「キャッシュレス化」を進めない理由
この手数料負担の重さを鑑みれば、以下の記事もさもありなんといったところでしょうか。
クレジットカードがキャッシュレスの主役になれない理由
クレジットカードがキャッシュレスの主役になれない理由②
上記リンクでは、事業者側手数料負担の重さと共に、それでもカード会社(アクワイアラー)の収入は少ないことから、クレジットカードが日本のキャッシュレス化の主役にはなり得ない旨述べられています。

その流れが、

銀行が「LINEペイ」に到底勝てない根本理由

へと続いていくことになります。つまり、日本がキャッシュレス化へと向かうには低コストの決済システムが必須であるということです。

じゃ、誰がそれを実現できるのかという話になりますが、LINEという一民間事業者がその座を占めるのも支持することに躊躇を覚えます。キャッシュレス決済は今後社会インフラになり得ますから、より公共性の強い機関による運営が好ましいのでは、と考えます。

銀行や複数銀行の共同運営もその任は無理だろうと。関連会社にカード会社を抱えていますから。イシュアでもアクワイアラでもクレジットカード関連業務を有する事業体が、より低コスト、より低手数料のキャッシュレス決済システムを構築することはあり得ないでしょう。利益を削ってまでデファクトスタンダード、ある意味独占を目指す場合を除いては。

郵便局、農協、労働金庫といった金融機関までクレジットカード事業を手がけている以上、金融機関が率先して該決済システムを手がけるとは思えません。

日銀でどうでしょうか。中央銀行の、銀行の銀行という役割からは外れるかもしれませんが、発券銀行の役割からは強ち離れていないかもしれないような気がしないでもありません....決済にも関わりますからちょっと違うかも。

ただ、今後キャッシュレス決済が盛んになれば、キャッシュの流通量は減り、替って電子データが流通するわけです。であれば将来減少していくであろう銀行券発券にかかるコストを、電子データ、即ちキャッシュレスシステムの構築に振り向けることも可能なんじゃないかと思った次第です。

必要なのはやる気ですかね。日銀法の改正も必要ですし。

クレジットカードがキャッシュレス決済のツールたりえないことは上記リンクで述べられていますが、クレジットカードによるキャッシュレス化が好ましくないことも同時に記しておきます。

キャッシュレス社会で主な決済手段としてクレジットカードが利用されるということは、個人消費、税金や公共料金に関わる支出の合計の1〜5%は手数料で占められることを意味します。この額が社会システム運営の必要コストと受け入れられてしまうと、将来に渡って手数料という上前をハネられ続けることになります。

クレジットカード決済がキャッシュレス社会の手段として強く、深く、強固に根付くことは、換言すれば社会システムの硬直化、既得権益化を示します。カード決済でキャッシュレス社会を実現するには、該決済システムが社会システムの一部として組み込まれなければならないのは確かです。しかしながら、その普及が足かせとなってより先進的で効率的な決済システムへの移行を阻害するのは明らかです。

キャッシュレス社会が叫ばれる中、高コストのクレジットカード決済が更に拡大、浸透し、守旧システムとして居座り続けていくのか、新たな効率的な決済システムが取って代わるのか、或いは現状維持のままなのか...

カード決済のこれまでの浸透により代替となる新たな決済手段が生み出せず、既に身動き取れなくなっているようにみえるのは思い過ごしでしょうか。

2018年8月19日日曜日

背景

別エントリで地方税、公共料金のクレジットカード納付について記していますが、その実現、普及には複雑な仕組みが必要なようです。
イシュア、アクワイアラ?何ソレ?
仕組みの理解抜きに云々するのはちょっと無理かな、と。本エントリで整理してみます。拙い理解です。不十分な点、誤りはご容赦頂きつつ、随時加筆修正していきます。
イシュア:クレジットカードの発行会社。クレジットカードの会員を募集し、カードで決済された利用額を会員に請求、銀行口座から引き落とし。
アクワイアラ:加盟店契約会社。加盟店を募集、管理。加盟店から売上データを受け取り、カード決済された利用額を加盟店に支払う。加盟店からは手数料をイシュアからは口座引き落とししたカード利用額を徴収
平成18年の地方自治法改正で指定代理納付者制度が定めらました。地方税、公共料金の納付にクレッジトカードを利用できるようにするために定められた制度のようです。

総務省の
地方公共団体の財務制度の見直しに関する報告書(本文)
に拠れば、平成18年当時は、
現行の指定代理納付者制度については、地方公共団体と納入義務者、 指定代理納付者たるクレジットカード会社(イシュア兼アクワイアラ ー)の三者を念頭に制度設計されている。
とのこと。
地方公共団体の財務制度の見直しに関する報告書(参考資料)
から図を引用すれば、
において、加盟店を地方自治体とし、イシュア兼アクワイアラー(=クレジットカード会社)のみを指定代理納付者とした態様を想定した制度ということでしょうか。

ところが、今日、クレジットカード決済の仕組みは複雑・多様化して実状にそぐわなくなった結果、クレジットカード納付ができないケースが現れるようになったとのこと。

下図のようにイシュアとアクワイアラーとが分離していたり、決済代行業者が介在するケースを指してのことでしょう。

そこで、これまの規定で、
”指定代理納付者が「交付し 又は付与する」クレジットカード等に限定された仕組み”
換言すればイシュアとアクワイアラーが同一であるクレジットカード会社発行のカードのみに限られていたクレジットカード納付を、
より柔軟に、即ち、
単独のアクワイアラーのみでも指定代理納付者として代理納付をできるようにするべき”
という見直しがなされ、現在、下図の仕組みに至っています。

図中、アクワイアラー(インターネットサイト)が指定代理納付者ということです。

以前の仕組みの実例を挙げてみます。クレディセゾンは2008年3月分から国民年金保険料のクレジットカード決済の取り扱いを開始する、との公開資料がありました。
「《セゾン》カード/UCカード」の公金決済拡充 国民年金保険料のクレジットカード決済を開始
これが旧来のイシュア兼アクワイアラー(=クレジットカード会社)のみを指定代理納付者とする制度の適用例かと。日本年金機構にある国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書(記入例)を見てみると、中程に決済に使用するクレジットカードを指定する欄があって”ご利用いただくクレジットカードに○印をつけてください。”とあります。このクレジットカード会社がイシュア兼アクワイアラーの指定代理納付者なんでしょう。



一方、現在の仕組みは、昨今クレジットカード納付が可能となった税金、公共料金の納付先である国税庁、地方自治体のサイトや国税クレジットカードお支払サイト愛知県県税 クレジットカードお支払サイトYahoo!公金支払いといった支払いサイトに示されている指定代理納付者を見れば適用されていることが判ります。

上記指定代理納付者はトヨタファイナンスとヤフーで占められています。別途クレジットカード支払いサイトを設けている国と都府県はトヨタファイナンスのみが、Yhoo!公金支払い利用して納付する地方自治体ではヤフーのみが指定代理納付者となっています。

確かに一つの指定代理納付者が多数、多様なイシュアに対応、様々なクレジットカードからの支払いをまとめて納付する形になっています。指定代理納付者が一社で仕組みが簡素化されていると言えなくもありません。しかしながら、見方をかえれば指定代理納付者の指定席化し、寡占状態になっていて競争原理が働かない状態にあるわけです。

ちなみに、現在の仕組みへと移行する大きな契機は、クレジットカード納付に対応することで寄付の促進を目論んだふるさと納税制度にあると推察しています。
「ふるさと寄附金制度」(いわゆる「ふるさと納税」)に係る事務の取扱いについて(平成25年9月13日付事務連絡)
で、クレジットカード納付を含む納付方法の多様化が推奨され、具体的な手続きも示されています。
上図の仕組みは、正に既に挙げたアクワイアラー(インターネットサイト)を指定代理納付者とした仕組みと相違ありません。その後、ふるさと納税という地方自治体が運営する通販システムは、納付の簡便さと返礼品、税額控除目当てに過熱していきます。

それと前後して平成25年の
地方公共団体の財務制度の見直しに関する中間的な論点整理
でも”複雑化するクレジットカード決済に対応すべく現行の指定代理納付者制度について見直しをすべき”との指摘は既にありました。

で、ふるさと納税の過熱化が呼び水となって平成27年の

地方公共団体の財務制度の見直しに関する報告書(本文)
を経て現在の仕組みに至った、と。こんな流れでしょうか。

以上の指定代理納付者制度についての予備知識を前提に次のエントリで元の話に戻ります。

上前4

前のエントリに続けて国保の保険料(税)、地方税、国税のキャッシュレス(クレジットカード)納付における手数料について考えます。

Yahoo!公金支払いを利用して国保の保険料(税)を支払う場合、納付先の市町村によって手数料が異なることが判りました。では、その他の市税、県税、国税ではどうでしょうか。調べてみました。

市税については愛知県内の市町村でYahoo!公金支払いが利用可能な市町村を、県税は自動車税を念頭にYahoo!公金支払いが利用可能な岐阜県と
愛知県県税 クレジットカードお支払サイト
を、国税は
国税クレジットカードお支払サイト
を参考にしました。

固定資産税や住民税といった市税では税金によって手数料が変わることはありませんがやはり市町村間で差がありました。例えば50,000円の市税を納付する際、税込みで
475円(蒲郡市)〜486円(一宮市、瀬戸市、春日井市、安城市、長久手市)〜540円(東郷町)
といった差があります。100,000円の市税納付で1%強の手数料が必要となります。

自動車税は岐阜県の場合Yahoo!公金支払い利用で、手数料は一件当たり324円と一律でした。愛知県では20,000円の納付で157円、100,000円の納付で788円だったりします。手数料は納付額に対し1%未満です。

同様に国税は20,000円の納付で164円、100,000円の納付で820円でした。手数料は納付額に対し1%未満ですが、愛知県より割高な手数料率となっています。

これらを俯瞰してみると、大雑把に言って、”ネットワーク上での数字の振替え操作”であるにも拘わらず納付する公金によって手数料率に差があることがわかります。果たしてこれは肯定できることなのか...

この疑問も頭の片隅に置きつつ、公金のキャッシュレス(クレジットカード)納付について少し調べてみました。

国税については、平成28年4月1日から施行された”所得税法等の一部を改正する法律”中、”六 国税通則法の一部改正(第6条関係)”内で定められたようです。
2 クレジットカードによる国税の納付制度を次のとおり創設することとする。(国税通則法第34条の3、第34条の5関係)
(1) 国税を電子情報処理組織を使用して行う一定の通知に基づき納付しようとする者は、納付受託者(一定の要件を満たす者として国税庁長官が指定する者をいう。以下同じ。)にその納付の委託をすることができる。
(2) 納付受託者が国税を納付しようとする者の委託を受けた場合には、当該委託を受けた日に国税の納付があったものとみなして、附帯税等の規定を適用するほか、納付受託者の納付義務、報告義務等について所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成29年1月4日から施行する。(附則第1条関係)

地方税、公共料金に関しては、クレッジトカード納付を想定して、平成18年に改正された地方自治法により指定代理納付者制度が定めらましたが、それでもすぐに広く利用されるには至らなかったようです。これは多様化、複雑化したクレッジトカード決済の仕組みの実状と、指定代理納付者をクレッジトカード会社とした想定が適合しなかったことが理由とされています。

このクレジットカード決済の仕組みと指定代理納付者制度はすんなりとは理解し難い部分もあり、一旦横道に逸れて地方税、公共料金のクレジットカード納付の仕組みを別エントリ記します

2018年8月14日火曜日

失態

威厳とか、権威、信頼、そういったものを堅持したいという思いの表れなのか、或いはメディア側の忖度なのか...

大阪府警富田林署で強制性交、強盗致傷容疑で逮捕、留置中の樋田淳也容疑者が逃走した事件が報道されました。

昨今、警察、及び警察官の不祥事や失態、犯罪は特段驚くほどの事件、事案ではありません。ただ、警察官個人に依る重大犯罪では県警幹部の会見映像が放送されることがあったものの、警察組織の失態、不祥事についての会見は極めて稀です。アナウンスされる報道の件数に比しあまりに過小です。

これが桜タブーと称されるものなのか。かつてより見聞する件数は増加しているように見受けられ、これは”以前より透明性が向上した”と前向きに捉える話なのかもしれません。

ただ、件の日本ボクシング連盟会長の辞任劇に纏わる執拗な取材、報道姿勢に較べ、重大事案であるにも拘わらずあまりに抑制的過ぎる気がします。

2018年8月10日金曜日

改称

とっとと改称しておけばこれほど問題にならなっかたかと。
東京医科大学 →
官僚子弟限定 東京現役男子医科専門学校
こう改称した上で、「女性研究者研究活動支援事業」の補助金をどう申請すれば採択されるか、文科省高官の指南を仰ぐべきでした。入試結果にどれだけ下駄を履せばこの校名で補助金交付を受けられるのか、お尋ねしたいところです。


(追記)

日本ボクシング連盟の会長による、競技団体の独裁、私物化や、奈良判定と称される判定の歪曲、連盟職員に対するパワハラが露見したことで、当該会長が辞任した案件がありました。

この辞任劇と、上記東京医科大学の不正入試事案でメディアの取り上げ方にかなりの偏り、強い違和感を禁じえません。問題の重大さを鑑みればやはり東京医科大学の公金詐取、女子受験生や浪人生差別、官僚子弟の裏口入学問題に報道の重きをおくべきだろうと。

ボクシング連盟の騒動は、あくまで団体を独裁支配した個人に留まる話です。勿論、奈良判定という競技判定の公正性に疑義を生じさせる部分もあり、これを看過して構わないということでは決してありませんが。

ただ、それ以上に東京医科大学の事案の取り扱いは過小です。恰もボクシング連盟の報道で、東京医科大学の事案を覆い被せたい、そういった意図の存在を感じます。

この意図の由来を考えてみると、医療行政、文部行政とスポーツ行政の有する責任と各々に対する批判の大きさを、メディアが忖度した結果なんだろうと推量できるわけです。

ボクシング連盟 会長の事案は、文科省の外局であるスポーツ庁が所管する競技団体の代表者が騒動の種になっているに過ぎません。しばしば言われる、人心の一新、いわゆる首のすげ替えで落着する話です。スポーツ庁に監督責任を問うなど批判の矛先が向けられることはありません。スポーツ庁がボクシング連盟役員の人事に介入することで、スポーツ行政自体には問題はなくむしろスポーツ庁は上手く機能していると受け止められます。つまり、行政に問題がないからこそメディアは躊躇なく連盟 会長を叩いているんじゃないかとの見立てです。

昨今、スポーツ団体役員、監督、コーチに纏わるパワハラ、セクハラ、暴力他の不祥事など日常茶飯事過ぎて、いちいち報道を抑える理由など見当たらない、という部分もあるのかもしれません。

では、東京医科大学の事案はどうでしょうか。一義的には東京医科大学に非があるのは論を待たないわけですが、更に深堀りしていくと行政や行政庁の問題に行き着いてしまいます。

受託収賄、公金詐取、公務員倫理、入試不正、女子受験生と浪人の差別、私学運営の不透明性、医師不足とそれに伴う医師の厳しい労働環境、女性医師の出産と育児、女性の就労、緊縮が求められる社会保障費、キーワードを列挙すれば、ボクシング連盟の比ではありません。

根源をみればいずれも一朝一夕で改善、解決できない問題ばかりですし、行政システム、最高学府の入試制度に留まらず私学の存在意義や官僚人事の根幹を揺るがす問題すら包含されています。

メディアとしては、東京医科大学の事案を目立たせずやり過ごすためもあって、ボクシング連盟の騒動を大きく取り上げている、というのが実の処ではないでしょうか。個人の問題に収束できる不祥事は、”ドブに落ちた犬は叩け”の言葉にあるようにメディアスクラムで飯の種にできます。しかしながら、行政制度やシステムの問題点指摘、組織の批判は腰が引けている、といった感が否めません。意趣返しを恐れての判断かもしれませんけど。

寡占2

以前、ドライバー等現業職のサービス残業、過重労働といった不法労働行為が発覚、これに乗じて値上げやむ無しの世論を形成、料金値上げを実現したヤマト運輸です。

今度は水増し請求ですか...
ヤマト、引越で4.8万件「過大請求」の深刻実態
こちらも実態に即して引越し料金の値上げをしたい処でしょうが、水増し請求の露見は値上げの事由にはとてもなり得ないな、と。

契約先法人に謝罪、返金で済む話なんでしょうか。宅急便料金値上げの場合と同様に、相見積もり時点で同業他社が不当に排除されているわけです。

そういった部分が改まらない限り”不法でもやった者勝ち、ばれなきゃ構わない。”は懲りることなく繰り返されるのだろうと。

学習して法令遵守に努めようという姿勢が感じられません。次はもっと巧妙にとか、他山の石としてウチはもっと上手くやろうとか、そういった方向への駆動力は依然強大なままです。