2022年5月21日土曜日

落穴

よく落とし穴にはまります。

直近の例を一つ。

最近、DVD/CDスリーブをネットショッピングで購入しました。至る所に溢れている、両面が透明フィルムで、中が不織布で仕切られたDVDやCDの保管袋です。一袋で二枚のディスクを保管できる構造になっています。

実際にはBlu-ray Discを保管する目的でした。他に必要な商品があって、この商品と同時に注文する際、購入先のショッピングサイトにはBlu-ray Disc保管用の商品は見当たりませんでした。

で、DVDやCDと形状、大きさは同じだしBlu-ray Disc保管にも使えるだろうというか、使えて当然、といった認識で200枚のディスクを保管できる100枚入りのパックを購入しました。

やたらめったらBS世界のドキュメント、BS1スペシャル、映画をHDDレコーダに録画するものですから、HDD容量の圧迫が甚だしく、Blu-ray Discに移動させています。周囲からの、”本当に観る気はあるのか?”という指摘を躱しつつスピンドルケースの100枚入りBlu-ray Discを使っていますから、録画済みディスクの保管を考える必要がありました。

嵌まったのは到着したパックの裏面を何気なく見た時です。

ブルーレイディスクは収納しないで下さい。ご使用できなくなるおそれがあります

という全く予想だにしなかった文言が商品説明の一部に記してありました。パックを開封する手が止まり唖然としたのは言うまでもありません。

確かに、”ブルーレイディスク”、”不織布”と、”保管”、”収納”といった語で検索してみると、例えば以下のような文言が見つかります。
不織布ケースのような軟質の樹脂ケースに収納しますと、樹脂ケースがブルーレイディスクのカバー層(記録面)と常に接触している状況となります。そのように不織布ケースとカバー層(記録面)が接触した状態で、一定時間放置しますと、ブルーレイディスクのカバー層(表面)が微細に変形してしまうことがあります。

ブルーレイディスクの保管にDVD・CD用の不織布ケースが使用不可であるといった主旨のサイトは容易に検索されました。いちいちブルーレイディスク対応を謳う不織布ケースもあるようで、やはり通常の不織布ケースはブルーレイディスクの保管には使えないようでした。全く知りませんでした。

”軽自動車といえども軽油を給油するのは不可”

以上に周知されていない難儀の種と思います。

で、手元にあるDVD/CDスリーブをどうしたものか、という話になるわけです。そのままでは廃棄ですから、ブルーレイディスク対応品との交換か返金の希望を販売元に連絡しました。この時、販売元サイトの”特定商取引に関する法律に基づく表記”には、初期商品不良の場合であれば交換も返金も対応可であるものの、お客様都合による交換は受け付けない旨が記されていました。

又、該DVD/CDスリーブ購入の際の商品説明には、商品表面の写真と商品名(DVDやCDを収納できる不織布スリーブ DVD&CD 不織布スリーブ 両面収納 100枚)は表示されていたものの、ブルーレイディスクの収納は不可という記載も、その記載のある商品裏面の写真の掲載もありませんでした。つまり、ブルーレイディスクの収納が不可であることを明示的に知る術はなく、DVD&CD収納不織布スリーブという部分から”ブルーレイディスクは対象外”を汲み取らなければならなかった、ということです。それを合理的な理由でお客様都合”とできるのだろうか、甚だ疑問でした。それを合理的な理由としてお客様都合”とみなされてしまうのか、気掛かりでした。

結果的に上記要望は受け入れられ返金に至ったのですが、その事由は予想外のものでした。

購入先とやり取りをした処、商品の掲載ページに

”大切なブルーレイ・DVD・CDを保管”

といった掲載があったとのこと。で、この文言は商品裏面記載の”ブルーレイディスク不可”とは明らかに矛盾しているということで、代替品の交換か返金といった対応に至った次第です。その後、ブルーレイを保管可能な交換品が当該販売サイトにはないことが判明し、返金となりました。

今回は、販売サイト側のオウンゴール的な表示の誤りを理由として返金という対応になったわけです。ただやはり知っておきたいことは、上記

”大切なブルーレイ・DVD・CDを保管”

ではなく端から、

”DVD・CDを保管”
と表示されていた場合、どういう対応になったか、ということです。大切なブルーレイ...”の語を見た記憶はないのですが、今は商品が削除されているため確認できません。

前述の繰り返しになりますが、説明ページで、DVD・CDを保管”と記されている商品表面のみを見て、該商品を購入し、届いた商品の裏面にブルーレイには使用不可”の記載を見つけた場合、販売サイト側、購入者側のどちらに過失があるのか、という話です。条件を整理してみると、

1.ブルーレイディスクDVD・CDをと同じ形状である。

2.ブルーレイディスクはDVD・CDより破損し易く通常の不織布スリーブは使用不可。

3.上記2.の事実は一般消費者に周知されているとは言い難い。

4.販売サイトの商品説明ページには、”DVD&CD 不織布スリーブ 両面収納 100枚”との表示がある製品表面の画像はあった。しかしながら、”ブルーレイディスクには使用不可”との記載がある製品裏面の画像はなく、商品説明として”ブルーレイディスクには使用不可”の文言もなかった。(今、改めて文具、事務用品は数多く販売している他の通販サイトを確認しました。商品名に”Blu-ray可”の語を含む不織布スリーブがあったり、DVD・CD 不織布スリーブで商品説明に”傷がつきやすいブルーレイディスクには対応しておりません。”、”※ブルーレイディスクの収納・保管は推奨しません。”と記してある不織布スリーブもありました。ただ、殆どはブルーレイディスクの収納については未記載でした。)

5.上記4.を受けてDVD・CD 不織布スリーブがブルーレイディスクには使用不可であることは、裏面の説明を見ることができる商品到着後である。

この条件下で、”DVD・CD 不織布スリーブ”の商品名でブルーレイディスク対応とは記していないから、商品到着後に”ブルーレイディスクは不可”と判明し交換、返金を求められてもそれはお客様都合、とされるのもなかなか納得できないものがあります。つまり、”DVD・CD 不織布スリーブ”の商品名から”ブルーレイディスクは不可”を読み取らなければならないわけです。それが社会常識とか、社会通念上合理的とされるのであれば、なんとも世知辛い社会です。

おちおちネット通販で物品購入などできません。油断してクリックしたら自宅に無用のゴミが貯まってしまいます。ゴミが貯まってしまいます。

この件について調べていた時、奈良県のサイトで、

不織布ケースでのブルーレイディスクの損傷

といったPDFファイルを見つけました。 県民情報> 県の組織> 文化・教育・くらし創造部> 消費生活センター> 消費生活Q&Aの2013年08月19日に公開されたファイルのようです。どうやら、(独法)国民生活センターの県単位の組織である奈良県の消費生活センターに寄せられた相談のようです。2013年とかなり前の相談事例ですが、不織布ケースに保管していたブルーレイディスクが破損したものの、不織布ケースのメーカーは補償に応じなかった、消費生活センターより後商品に注意表示を盛り込むことを検討してほしい旨の申し入れに留まった、とのことでした。古い事例で、当時は注意表示すらなかったことを推測させます。その後”ブルーレイディスクは不可”の表示がされるようになった、という経緯でしょうか。

ただ、購入前に知らされなければ意味がないわけです。収納したことによる破損は回避できるかもしれませんが、事前に分かっていれば、そもそも購入しませんから。上記事例から、”ブルーレイディスクは不可”を見落としてブルーレイディスクを保管、破損させたとしてもメーカが補償に応じないであろうことは容易に推測できます。”DVD・CD 不織布スリーブ”とありますし注意表示もありますから。ただ、販売サイトはどうでしょうか。注意表示を表示することなく販売しているわけですから少なくとも善管注意義務の問題は指摘されて然るべきかと考えます。補償には応じるとは思えませんが。

改正特定商取引法により、令和4年6月1日から、通販の注文時に内容を確認する際の表示がより明確になるようです。目的は、初回とかお試しの文言を使って、購入者が意図しない定期購入契約締結への誤認を防止する、と理解しています。

ネット通販の定期購入契約トラブルで耳目を集める、意図的に誤認させるプロモーションに対する改正特定商取引法です。これが過失や偶発的な善管注意義務となると果たして規制にまで至るのかどうか疑問です。この辺りに関しては 日、米のAmazonが最も先進的かもしれません。こちらはこちらで如何なものかという話も聞きますが、返品効果や返金についての対応は柔軟と思っています。(別の理由でAmazon.co.jpのヘビーユーザではありませんけど。


ネット通販において、このような購入時の意図とは異なった不本意な結果となった経験は幾度となくあります。当に油断ならない、うっかりして嵌った、嵌りそうになった事例を機会をみて追加していきます。取り敢えず次のエントリでもう一例記しておきます。


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