2022年5月3日火曜日

魂胆(2)

前エントリから続けます。


さて、落とし処が見当たらない、今後が見通せないこの侵略戦争ですが、どういった方向に推移していくのでしょうか。五月に迎える旧ソ連の戦勝記念日に停戦とも、来年まで、或いは二、三年は戦争が続くとの予測もあります。

まず、現在の激しい戦闘状態が延々と続くことはないだろうと。合間合間に停戦協議の声が出ては消えを繰り返しつつ戦闘は続いていくわけです。停戦ではなく小康状態が最も平和な状態かと。ただそれは次の戦闘の前の静けさかもしれませんが。

同時にその過程でロシアの北朝鮮化が進むだろうと。ロシアの孤立化とロシア-ウクライナ間はイスラエル-パレスチナや北朝鮮-韓国間にも似た膠着状態が延々続いていく状態です。

この膠着状態は力の均衡が崩れた時に動き出しますが、緩慢な変化では均衡点が移動して平衡が保たれてしまいます。突発的な大きなイベントが必要です。ロシア国内のクーデター、フィンランド-ロシア間の交戦勃発か、或いは別の不測のイベントか...

今、それを押し留めているのはロシアからドイツへのガスの供給です。これがある意味、事態を均衡させる力の一つになているかと。言い換えれば、ドイツのロシアへのエネルギー依存の動向が端緒となって事態が動き出すかもしれません。

NATO加盟国の直接参戦はどうでしょうか。代償が大き過ぎるかも。元々、今般のロシア軍のウクライナ侵攻はNATOの東方拡大に抗うため、との見解を見聞しました。この時、よく解らないのはNATO加盟国でウクライナの隣国であるポーランド、ロシアと国境を接するバルト三国が、ロシアと交戦する動機です。つまり、NATOが先制してロシアに軍事行動を起こす必要性というものが今ひとつピンときません。何かあるのでしょうか。

確かにウクライナのNATO加盟後であれば、ウクライナ東部の親ロ派の独立運動へのロシアの支援は牽制されるかもしれません。ただそれもロシアの支援云々があっての話ですから、”先制して”の状況には該当しません。
”ある日突然NATOがロシア侵略を始めた”
となる合理的な条件の推測ができないわけです。理由なく、被害妄想的にNATOの脅威に抗うということであれば、上記のNATO加盟国の直接参戦は事態の好転が予想できないでいます。

もう一つ、これは今般の戦争がウクライナとロシアの戦争ではなく、ウクライナとプーチンの戦争であることを前提とした話です。人治主義の独裁国家では独裁者が没する前後に混乱が生じることは珍しくありません。プーチンが強大な力を持つ独裁者であったとしても不老ではないわけです。

時間が必要だとしても、西側諸国の経済制裁によるロシア経済の疲弊とプーチン大統領自身の老化は確実に進みます。そうなると、旧ソ連崩壊時の再弱体化、ロシア国内の世情不安と不満の高まりは必定で、指導者交代へと繋がっていきます。こういった場合の指導者交代では、既存のプーチン路線の継続は難しく、クーデターによる政権転覆、内乱すら起こり、反プーチン政権の樹立に向かうと考えます。

これが最も実現可能性のあるシナリオでしょうか。問題は時間を要することです。このロシア国内の不満を早期に最大限まで高める、この方策の一環として現在様々な経済制裁が行われているわけですが、まだ十分な効果を上げていないように見受けられます。もう少し踏み込ん
施策が必要です。

それは何だ、と問われても知見がなく提案はできません。ただこれまで言及してきた1)エネルギー、2)経済、3)兵器あたりに何か見つけられないかと。

実現の可否はさておき、理想的には、
1)ガス田、油田の占拠
2)大量の偽ルーブル紙幣の流通
3)工作機械の破壊
あたり有効かと思料しています。浅慮と指摘されればその通りですが。今、ドイツが今ひとつ厳しい経済制裁に踏み出すことができないのは、天然ガスの供給をロシアに依存しているからに他なりません。占拠でなくとも、この供給源を確保できればドイツもより踏み込んだ制裁措置が可能となります。

このガス代の支払いをルーブル建てで、というのがロシア側からの要求です。ルーブル建てでの支払いを拒否したポーランドとブルガリアはガスの供給が停止されたとのこと(4/27)。こんな時こそ偽ルーブル札での支払いです。古今東西、敵国経済の混乱、衰弱を目的とした偽通貨の流通は常套手段です。勿論、単純に偽札での支払いではなく、通貨の信頼を大きく毀損させる何か、ということです。ウクライナ侵攻後、一度暴落したルーブルは現在侵攻前の価値を上回っています(4/30)。不思議なことに、制裁措置で経済を弱体化させるはずが、ルーブルの価値は上がっています。よく解りません。

工作機械の自損については、当初、ロシアの兵器生産力を疲弊させるという目的で、ロシア保有の、高度な精密加工を行う日本やドイツ製工作機械、スイス製測定器の自壊のような方法を考えてみました。

しかしながら、機械本体のロシアへの新規の輸出は既に禁止されているはずですし、設置済、稼働中の設備に対するメーカによるメンテナンスも今はなされていないようです。となると、遅かれ早かれ上記設備は正常運転不能に陥ります。補修部品、消耗品も入手不可で交換、補充、キャリブレーションの用員もいないとなれば、使い捨て的な使用形態ですから、程なく装置寿命を迎えガラクタ化するわけです。

ガラクタ化を加速させる、汎用の兵器生産力をどのように削いでいくかについては更なる知恵が必要です。

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