2018年11月9日金曜日

衰亡

前のエントリに続けます。

鰻屋に事例を端緒に、将来的に飲食店の質的衰亡は避けられないのではないか、という思いに至りました。勿論、佳店は存続するでしょうが、全般の平均的な質は低下し佳い店が埋没してしまう、ということです。

昨今の出版不況と同じ道を辿っているようにも見て取れます。良書とまでは言わないまでも真っ当な本が、その他多くのどうでもいい本に埋没し、駆逐されていく...消費者を誘引する刺激的な、その一方で中身の伴わないキャッチコピーで購買意欲をかき立て、費用と時間を浪費せしめ、失望させ、新たな書物と向き合う意欲を減退させる、そんな悪循環にも似た状態を飲食の分野でも感じないでもありません。

いくつかの理由が挙げられ、その一つが出版と同じく過剰な粉飾であるのは間違いない処です。鰻屋の話が例外ということではなく、飲食の業界でこれまでもあった二極化が今後一層加速していくわけです。個人経営による飲食店はより厳しい存続の危機に直面していくものと思われます。特に問題と考えるのは良店ではなく、突出して秀でた部分はないものの、さりとてハズレでもない、無難な、いわゆる普通の店が苦境に立たされることを危ぶんでいます。

そういった店が、質の面で遜色のない、と言うかむしろ劣ることすらあるチェーン展開を進める大店に駆逐されていく様を見るのは、あまり気分のいいものではありません。

店主の高齢化、後継者難、商圏の少子高齢化といった避け得ない理由があることは承知しています。ただ、上述したような価値の粉飾と、食べログに代表される口コミサイトのレビューこそが該飲食店の存続を脅かしている主因である、と推測しています。口コミによる影響は出版分野以上ではないでしょうか。

昨今話題に上がる、消費税増税に伴う決済のキャッシュレス化導入への有形無形の圧力や軽減税率制度というのも、飲食業界の足を引っ張りこそすれ決して質の向上に寄与しないのは明らかです。飲食店に限ってはいませんが、キャッシュレス化については以前記しています。

本エントリでは、飲食店を疲弊させ衰亡に追い込んでいく、客による飲食店の評価、レビューといった、いわゆる口コミの力を考えてみます。

先日、NHKのクローズアップ現代+でも取り上げられていましたが、
暴言に土下座! 深刻化するカスタマーハラスメント
飲食業のみならず、スーパー、コンビニ等、接客が絡む業種で客からの無理難題、理不尽な要求、我儘、不当なクレーム、暴言によるトラブル事例をよく見聞するようになりました。場合によっては土下座の強要暴力沙汰に至ることもあるようです。

現実のトラブルにまでは至らずとも、その予備軍と位置づけられるネットの掲示板への不平不満の投稿となると膨大な事例が見つかります。口コミサイトへの不平不満や独善的評価の投稿は、抑制的な力が極めて弱いネットの匿名性によってエスカレートせしめられます。口コミサイトを不満のはけ口として利用し、”匿名で悪口を投稿する”、この行動で鬱憤をはらすことは、”大人の対応”という見方ができるかもしれません。店、店員とのリアルなトラブルにまで発展させない、という点で。

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