2015年3月1日日曜日

約束

戦時下のシリーズに入るとNHK朝ドラは、規定路線を寸分違わず類似した内容となります。

もはや、伝統芸能の様式美を追求しているのだろうか、とさえ思えてきます。

キーワードは、”鬼畜米英”、”非国民”、”国賊”等...朝から居丈高な怒声でそういった語を耳にします。

専横な軍、理不尽な官憲、手放しで国家を盲信する国防婦人会(マッサンには登場していないのですが、北海道には組織がなかったのでしょうか)や同級生、近隣住民...

家宅捜索で英和辞典を見つけてスパイ容疑ですか。一部、曽野綾子騒動ともシンクロしているなぁ、と思うわけです。他にも頭が悪そうな子供が石を投げる、窓ガラスを割る、といった嫌がらせが続きます。

終には準主役に次ぐ役どころで、前途ある好人物の青年が戦地に召集され、戦死すると...その後終戦を迎え、悲しみに打ち拉がれながらも懸命に生きていく、といった流れでしょうか。

朝ドラを通じて製作側が伝えたい意図を未だ掴みかねています。戦時下という特殊な状況で、理性でなく感性に訴えかけられて流され、翻弄される市民の弱さ、愚かさを描き出したいのかもしれません。

ラヂオを通じて情報というツールで扇動の片棒を担いできたNHK自身の過去をさておいてです。

ドラマを通じて戦争、差別、いじめ、軍国主義、全体主義に対する嫌悪感を植え付けたい意図があからさまです。NHKのその上から目線の教育的姿勢に押し付けがましさを感じます。不愉快です。

ところで、話が戦時下に移った時、ぎこちなさというか、こじつけのような印象を持ちました。上記意図を含ませるためでしょうか。史実がどうであったかは存じませんが...

自社ウィスキーの味わいが理解されず販売不振が続いていたニッカウヰスキーですが、人員整理に踏み切る直前、海軍にウィスキーを納入することで息を吹き返しました。

この納入要請時の海軍将校ですが、樽内の原酒を味見して、
――やはりこんなものか。――
――まっ、ウイスキーの味も分からんような連中には、この程度でも十分だろう。――
と宣うわけです。更に、
――実は、欧州の戦争の影響で、洋酒の輸入が難しくなってきてな。ウイスキーを大量に確保しておく必要に迫られている。――
といった言葉も。必要?

そもそもウィスキーは軍需物資なんでしょうか。贅沢な嗜好品として統制品に指定されるならまだ理解できますが...軍におけるウィスキーの軍需品としての位置付けを知りたい処です。日本酒や焼酎で代替できない理由もです。

ウィスキーは武器ではありませんから、軍に必要とされるなら、民需もあったはずです。であれば、もう少し売れていてもいいように思えますが。やはり、不味くて売れなかったのかもしれません。

で、上の海軍将校の言葉です。輸入ウィスキーを飲み馴れていて味に詳しい将校なんでしょうか。続く”まっ、ウイスキーの味も分からんような連中...”とは海軍でウィスキーを飲む層、将校や将官を想定しての感情の発露?

まとめると、
ウィスキーの調達に訪れた海軍将校だけがウィスキーの味に詳しい。
海軍でウィスキーを飲む層は本物の旨いウィスキーの味を知らない。
にも拘らず海軍にとってウィスキーは必需品である。
そして、ニッカのウィスキーは(樽出しの若い原酒だったためかもしれないが)、大した味ではない。
といったところでしょうか。 これでは敗戦已む無しだったかも...

一方で、六年熟成させた原酒を使ったブレンドウィスキー販売不振でした。自身が納得できる味わいで満を持しての発売だったはずです。本場スコットランドのウィスキーにも引けを取らない自信作だったかと...

これが日本人に受け入れられず売れないと...本場のウィスキーに精通しているかもしれない海軍将校からは”こんなもの”呼ばわり...

一体、誰に向けてのウィスキーだったのか、不思議です。結局、旨かったのか不味かったのか、よく分かりません。唯一考えられるのは、日本人に受け入れられる味も創り出せず、”こんなもの”しかできなかった、ブレンダーとしての亀山の能力不足ということなんでしょうか。

又、先行して国産ウィスキーを発売していた寿屋はどう対応したのかも興味をそそられます。通常であれば実績のある寿屋がまず要請されるのが自然かと思うわけです。蒸留所も京都に立地していますし。

何故破綻直前のニッカに白羽の矢が立ったのか気になるところです。

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