2014年3月4日火曜日

信用

ビットコイン取引所であるMt.Goxの破綻に際し少し記します。 

――ネットワーク参加者がネットワーク上に構築された特定の情報で構成される価値体系を共有し該体系内で価値を認めた情報を通貨として利用する――

私の理解です。誤りを御指摘頂ければ幸いです。

上記考えは、理想としては支持できます。

国境とは無関係に、即ち、国家の頸木から解き放たれてネットワーク上に拡がる通貨システムであり、恣意的な通貨の流通操作は排除されると考えます。唯一、ネットワークに接続できることが利用の条件です。

ユーロのような地域通貨であるものの、但し、中央銀行は存在しない、といったところでしょうか。この時、地域=ネットワークです。国家の信用に裏付けられない通貨システムですから、政治的意図に基づく緩和や引き締めといった金融政策(操作)は排除されます。

情報の送受信が通貨の流通を意味しますから、多くの国に広く利用されれば、国境を跨ぐ為替、送金といった異種通貨間の諸手続きは不要になります。通貨の流通に関わる生産性が向上するということです。

問題は、果してこのビットコインそのものと関連するシステムに絶対的な信頼性、完全な信用が確保されていたか否かです。

ネットワークの参加者が全て善人であるはずもなく、不正に対し脆弱な部分の存在がシステムに対する信用を毀損し、通貨としての価値を貶めたということでしょう。

こういった国家以外を信用の拠り所とする通貨システムというものは未だ時期尚早なのか、若しくは、未来永劫本質的に不可能なのか、興味を持っています。

揺るぎない物理法則、絶対的な数学的原理に信用を依拠した通貨システムの可能性があるようにも思えます。無責任に勝手なことを書いています。

少し飛躍します。

実は私達は無意識の下でかもしれませんが、絶対的な基準というか、完全なる事実、揺るぎない拠り所というものを求めている、必要としているのではないかと思っています。上記のように何かの目的に利用することだけを理由としてではなく、です。

毎年のノーベル賞受賞者の発表において物理学、特に理論物理や宇宙物理の分野での受賞者が、とりわけ多くの人々から尊敬の念をもって称賛されていることがその証左ではないでしょうか。根拠はありません。印象です。

今回報道された、ビットコイン取引所のシステムへの侵入は、ネットワーク上で起こる不正を未然に抑えられるほど情報技術が進歩していないことを示しています。

情報技術に代表される科学技術は、私達社会の不完全さを補うほど進歩していないわけですが、一方で、科学技術の進歩に相応しく、社会が善くなっているわけではないことを改めて気付かされました。

利便性や快適性、合理性を追求するだけでなく、社会を賢く善い方向へと進めていく、科学技術のそういった役割にもう少し焦点が当たってもいいのではないかと考えます。

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