2018年9月8日土曜日

全力

先日、ラジオで耳にした報道です。
安倍晋三首相は5日午前、台風21号による関西空港の被害などについて、森昌文国土交通事務次官らから官邸で報告を受け、関係省庁が連携して早期再開へ全力で当たるよう指示した。
共同通信、毎日、東京、中日辺りの新聞は同じ文言を使っているようです。以前から、全力、完璧、完全といった修辞が多用されている総理の発言なんですが、上記では指示としての文言です。果たして”全力で当たらせる”ことは指示として意味があるのだろうか、違和感を抱いた次第です。

”全力で”という指示がないと省庁は全力を出さない、5割とか7割の力でしか取り組まない、ということならば上記指示も意義があるわけですが、この指示の有無で結果に差異が生ずるという理解でいいのでしょうか。

それはそれで、行政府の長から”全力で”という指示あって、はじめてフルスペックで機能する行政システムというのも、システムとして問題を内包していると言わざるを得ません。

或いは、この”全力”の語には粉骨砕身、不眠不休とか、寝食を廃して、或いはもっと具体的な勤務形態を指す、暗黙の含意を持つ公務員の専門用語なのか...
(期待も含めて)事態を大きく好転させる
そういった指示こそが為政者に求められているものであり、統治者として高い評価が与えられると考えるのですが。

”全力で当たるよう指示した”の文言からは、何だか一つの手続きというか、予定調和的な印象を拭えません。

黙して語らずでは野党やメディアの批判に晒されるのは確実です。しかしながら、だからといって、”関心を寄せています”、”蔑ろ、軽視していません”の意味で、予防線としての”全力で当たるよう指示した”には空虚感を覚えてしまう、というのが実の処です。

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