2018年6月2日土曜日

上前2

前のエントリで記したクレジットカード決済の手数料に纏わる話を、先述の国民年金の保険料支払いに当て嵌めてみます。

クレジットカードを使用した場合の保険料の納付額は現金の場合と同額ですから、クレジットカードの規約には抵触していません。

ただクレジットカードによる納付では、納付額の一定割合が手数料としてカード会社に支払われているのは明らかです。納付者に0.5-1.5%のポイント還元があることがその証左です。

ここでレジットカードを利用した納付者は、ポイント還元がある分現金納付者より優遇されている格好になります。それはそれで不公平感が醸し出されるわけですが、そこだけに留まらない問題があると考えます。

クレジットカードにより日本年金機構に納付された保険料は、現金納付の場合と同額であってもそこからカード会社への手数料が支払われます。年金原資に充当される額は現金納付の場合より手数料分だけ少なくなるわけです。

年金の受け取り額を含めた受給条件は、現金で納付しようがクレジットカードで納付しようが同じです。従って、カード納付の件数が増加するに従って手数料支払も増加し、結果として加入者全体の年金原資が減少します。現金で保険料を納付している加入者もこの影響を受ける、ということです。不公平感は否めません。

では、口座振替とクレジットカード納付ではどうでしょうか。2年前納の場合で較べてみますと、各々378,580円(現金納付、クレジットカード納付)、377,350円(口座振替)と、口座振替が優遇されています。現金納付とクレジットカード納付で金額が同額というのは確かにカード会社の規約に沿っています。しかしながら、その一方で、同じキャッシュレス支払いとみなすことができる、クレジットカード納付と口座振替で納付金額に差が生じていることに釈然としないものを感じます。システムは異なれど、共にネットワーク上で口座間の資金移動(数字の付替え)という操作に過ぎませんから。

納付先である年金機構は、(一番おトクな納付方法)として口座振替を推奨しているように見受けられます。機構としては意図/偶々に関わらず、保険金の未納や納付忘れ低減や、事務経費の軽減のためなんでしょう。ただ、そういった目的ならばクレジットカードによる納付でも同じ役割を担えるはずで、口座振替のみが優遇される理由を推し量れません。

成る程、前のエントリで記したようにクレジットカードによる納付は、保険金をカード会社が一時的に立て替えていて加入者の銀行口座から引き落とされるまでは融資という扱いなのかもしれません。口座振替では振替日に納付金が銀行口座から直ちに引き落とされます。

しかしながら、カード納付の場合であっても年金機構の立場からは取りっぱぐれてはいないわけです。立て替え分はカード会社が納付者の口座から引き落とすか、できなければ債権としてきっちり回収するでしょうから。

共にキャッシュレスの前納であっても口座振替にのみ優遇割引があり、クレジットカードによる納付では優遇を受けられない、というのも整合性がとれていないように感じます。

ところが、ここから話をややこしくしているのがカード利用によるポイント還元の存在です。口座振替で優遇される割引額は2年分前納で1230円ですが、例えば1%のポイント還元のあるクレジットカードを利用して納付すれば、3785ポイントが還元されるわけです。ポイントを円換算して考えると、クレジットカード納付の方が却って優遇されることになり、これまでの話がひっくり返ってしまいます。

一時的にカード会社が立替え、即ち納付者が借用して保険金を納付する形となるカード利用の方が、直ちに銀行口座から引き落とされる口座振替より(ポイント還元を含めれば)低額になる...

おそらくこの仕組みはカード会社に支払われる手数料にあるのだろうということは容易に推測できます。ポイント還元分と、それを差し引いてカード会社に残る実質的な手数料の合計がカードの手数料として支払われれば辻褄は合います。

このあたりの手数料率は明らかではありませんが、加入者全体の年金原資を蝕んでいるとみて間違いないのではないでしょうか。

勿論、口座振替であっても引き落とし手数料は納付者が間接的に負担しているわけで、こちらも不明朗です。公的年金の制度である以上、納付した保険金の中、年金原資として運用に回されるのはどの程度の比率なのか、透明性の向上が図られるべきと考えます。

では、国民年金に並ぶ社会保障制度である国民健康保険の場合はどうでしょうか。


次のエントリに続けます。

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