2016年10月29日土曜日

須要

かつて、名古屋、及びその近郊においてエビ天の天とじ丼を以って天丼と称してきた、とみています。つまり、海老の他、メゴチ、鱚、烏賊、穴子等の魚介類に加え、茄子、南瓜、玉葱といった野菜の天ぷらを丼ツユに浸して丼飯に載せた、今日の天丼は当地では一般的ではなかったと。

記憶が定かではありませんが、そういった天丼を始めて口にしたのは二十歳前後で愛知県外でした。それまでは天丼即ち、エビ天の天とじ丼でした。ですから、何かで見聞きした、カラッと揚がったサクサクの天ぷらを頂いた天丼というものは想像だにしませんでした。丼ツユを吸った衣が溶き卵と渾然となった天丼しか知りませんでしたから。

いわゆる全国共通の天丼を始めて目にした際には、
”タレを飯にまぶしてその上に天ぷらを載せただけじゃないか”
というのが素直な印象でした。飯と天ぷらの一体感のようなものを感じなかったのです。

当地では歴史の浅い、専門の蕎麦屋、セルフの讃岐うどんチェーンの勢力拡大、昔ながらのきしめん屋の衰退に伴い、いつしか天とじ丼は天丼として当たり前ではなくなってしまったように思っています。どちらが秀でているかを云々するつもりは毛頭ありません。

そう言えば光村なんかは昔はどうだったんでしょうか。あそこはあそこでかき揚げ丼などは丼ツユを割としっかり吸わせていて、カラッ、サクサクという丼とは一線を画していたような覚えがありますが。

それはともかく、名古屋市東区出来町という正にザ・名古屋に位置するきしめん屋を訪れた方が撮影された店内お品書き、及び、召し上がられた天とじ丼の図を見て思った処を少し。

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天丼と天とじ丼が併記してあります。各々に”上”が設けられているのも気になりますがそれはさておきます。つまり、ザ・名古屋のきしめん屋で天丼=天とじ丼ではなく、両者が区別されているわけです。前のエントリで守山区、中区鶴舞、西区、更には隣接の郊外でも天丼=エビ天とじ丼と扱われていることを確認しているのですが。両者を区別しているきしめん屋がザ・名古屋の場所に位置していたとは...軽く驚きました。ま、どうでもいいことですが。

こうなると、上記天丼がいわゆる天丼なのか否か興味を引きます。或いは、単に玉子でとじないエビ天丼なんでしょうか。はたまた、鱚天や野菜天の入ったいわゆる天丼なのか...

ところで、下図は上記ブロガーの方が注文された天とじ丼ときしめん(小)の配膳写真です。

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ここで仮に、きしめんを注文せず丼物のみを頼んでいたとしたら、赤だし等、汁物もなくお茶と共に掻っ込むことになったのだろうか、ふとそんな思いが過りました。淋しいなぁと。

寿司屋で海鮮丼や散らし寿司を頼めば味噌汁がつきます。中華料理店の炒飯には通常中華スープ?、ラーメンスープ?がついてきます。鰻屋だってうな丼を頼めば吸い物が。肝吸いか否かは別ですが。牛丼チェーン、カツ丼チェーンでは味噌汁がついてきたりオプションだったり。これはまぁ、ファストフードのチェーンですから致し方ないかもしれません。

微妙なのはオムライスで洋食屋、喫茶店、定食屋、専門店と供される店も様々ですが、スープも店によってついたり、つかなかったりです。個人的には水やお茶と共にオムライスを口に運ぶのも物足りなさを感じます。ただ、スープがつかない店でも食後のコーヒーがセットで出されたりしますから、オムライスにはスープは不要という考え方かもしれません。個人的にはコーヒーよりスープを優先して頂きたいのですが。例えインスタントであっても。オムライスを注文して眼前にそのひと皿だけが配膳されると、旨いでオムライスであっても軽く落胆します。おそらく一汁三菜に近い状態を期待しているのでしょう。水やお茶、コーヒーは一汁には含まれませんから。

カレーは明確です。水と共に食べることになっているかと。しかしながら、自分としてはカレーでもスープが欲しいところです。味噌汁でも構いませんけど。ナポリタン定食?イタリア定食?と称されるもの、焼きそば定食、お好み焼き定食というものがあっていずれも味噌汁がつくわけですから、カレーに味噌汁でも何ら可怪しくないと考えています。

でですね、上記のようなうどん屋、きしめん屋、蕎麦屋で丼物を頼む際には必ずカツ丼とミニきしめん、ミニ天丼とかけそば、といったセットを注文してきました。丼物のみを単品で注文したことは全く記憶にありません。丼物単品のみを頼んだ時、汁物無しでそれだけ配膳されるのでしょうか。

うどん屋、きしめん屋、蕎麦屋で丼物単品のみを注文した場合にはお茶と共に丼を口に運ぶのが真っ当なのか否か、よく判りません。お茶をすすりながらというのも、物足りないというかか物悲しい気がしてなりません。

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