2020年10月26日月曜日

鳴動

 コロナ禍の中、リモートなんちゃらとか、オンライン、5Gといった語が巷間で踊り続け、IT技術活用による効率化、利便性向上が叫ばれています。菅政権誕生後の昨今ではデジタル庁によるDX(デジタルトランスフォーメーション)、押印制度の廃止とか、まぁ、いろいろな掛け声が聞こえてくるわけです。


その少し前、技術資源の浪費以外の何ものでもない状況に直面し、ちょっと呆れちゃっています。これが日本の代表的IT企業の雄、NTTドコモの業務かと思うと失望を禁じ得ませんでした。先日、騒動となったドコモ口座不正利用事件の二週間ほど前の話です。

身内間で携帯電話の名義を変更する必要が生じました。その一部
顛末です。

自宅近くのドコモショップで手続きをしたわけですが、それに当たって、事前にNTTドコモのwebサイトで必要書類の確認をしました。というのは、これまで何度もドコモショップで様々な手続きをしてきたのですが、
一度で手続きを完了できたことがほとんどなかった
ためです。実際の使用者、或いは契約者の代理で手続きをするのですが、委任状がない、押印がない、本人確認書類が不備、自筆で記入していない、記入漏れ...等で幾度となく手続きを拒絶された経験があります。

サイトを見た処、まず、ドコモショップで手続きをするには日時の予約が必要でした。コロナ禍のためショップで人が密になるのを防いだり滞在時間を短縮するためなんでしょう。このご時勢ですから、まぁそれも当然かと。これまで予約無しで訪れて、結構な待ち時間があったことが幾度となくありましたから、これはこれで頷けます。

ただ、希望の時間を予約しようとすると前日では無理でした。所用で週一でドコモショップの近くを通りますのでそれに合わせて来店予約をするわけですが、前日予約が無理で一週、予約を失念して二週経過して三週目にようやく予約成立と相成りました。単なる書類の手続きで、行動を制限される予約を入れるのに一ヶ月弱...少しづつストレスが蓄積されていきます。

次に必要書類の確認をしたわけですが、今回の名義変更は身内A、B、CとあってC名義の携帯をBに名義変更、支払い口座はこれまでのAの口座で変更なしというものです。又、これまでA、B、Cは同一住所でしたが、Cのみ転居しているという状況です。

ドコモのサイトによると、

お手続きいただける方
現在の名義人の方
変更後の名義人の方
代理人の方

ご家族間(三親等以内)の名義変更で、一部のサービスや設定情報を引継ぐ場合は「現在の名義人の方」のご来店が必要です。

ただし、ご登録いただいているご利用者※が「変更後の名義人の方」の場合に限り、「現在の名義人の方」のご来店いただかなくてもお手続きになれます。

とあって、 現在の名義人C、変更後の名義人B、代理人Aのいずれでも手続き可能なようです。ただ次の注釈にある”ご家族間〜「現在の名義人の方」のご来店が必要です。”は、委任状があれば必要ではないのか、否か、判りません。今回は引継ぐ/引継がない、どちらでも構いませんでしたが。

で、A、B、Cの誰でも手続き可能なようですが、その後ろに記されている、”お手続きに必要なもの”を見ると煩わしさにかなりの差があります。

お手続きに必要なもの
ご来店される方問わず必要なもの :
  現在の名義人の方の本人確認書類
  変更後の名義人の方の本人確認書類
  変更後の名義人の方のキャッシュカードまたはクレジットカード※
  変更後の名義人の方が来店されないまたは、キャッシュカードやクレジットカードをお持ちでない場合は変更後の名義人の預金通帳+お届け印が必要です。
現在の名義人の方のみご来店される場合: 
  以下を追加でご用意ください。
  変更後の名義人の方からの委任状
変更後の名義人の方のみご来店される場合: 
  以を追加でご用意ください。
  現在の名義人の方からの委任状
代理人の方がご来店される場合: 
  以下を追加でご用意ください。
  代理人の方の本人確認書類
  現在の名義人の方からの委任状
  変更後の名義人の方からの委任状
現在と変更後の名義人の方両名でご来店される場合: 
追加書類はありません。
Cの来店は困難なのでBが手続きをすることにしました。となると必要書類はCの本人確認書類、Bの本人確認書類、Cからの委任状になります。この時点でドコモに電話で問い合わせました。電話料金の支払い口座としてAの口座を使う旨、問い合わせ窓口に話した処、”CからBへの名義変更に伴い、一旦支払い口座が解約され再手続きが必要”との指摘がありました。そこで、上記委任状と共に”異なる名義による一括請求同意書(代表回線契約者から三親等の方のみ)”もダウンロードして作成したのですが、そうなるとAからの委任状や本人確認書類も必要か?、ということになって、結局Aも来店することになりました。加えて、サイトにある本人確認書類のリンクを見た処、
(コピーでは受付できません)
の文言があるのを目にしていたため、”当日来店しないCの運転免許証、マイナンバーカードの原本を借りるのか?”と尋ねたわけです。その回答は、”委任状があれば不要”とのことでしたから、A、Bの本人確認書類、Cからの委任状、Aの同意書を持参してドコモショップに赴きました。

徐々に疲弊してきていますが、これで手続き完了と自信満々でショップを訪問、その結果は...差し戻しでした。Bの本人確認書類が必要との理由でした。確かに必要書類には挙げてありましたが、その一方で”(コピーでは受付できません)”との説明があるわけです。それもあって、事前に確認したのですが、Bの本人確認書類は複写でも可とのこと。

仕切り直しです。手続きカウンターに進むことなく待合エリアで門前払いでした。

転居したCから運転免許証のコピーを入手し再度ドコモショップを訪れたのはそれから二週間後です。勿論予約してのことです。

その結果は...差し戻しでした。理由は、委任状記載のCの現住所と運転免許証記載の住所が一致しないとのことです。委任状は転居後の住所、運転免許証は住所変更前のため旧住所が記載されていたわけです。又しても手続きカウンターまで進むことなく門前払いでした。運転免許証の住所変更は次の免許書き換え時で構わない、そのために平日を潰してまで住民票の交付を受けて手続きをするほどではない、というのが自分の認識でした。まさか、こんな処で引っ掛かるとは...

代わりに健康保険証のコピーでは、というとこちらも新住所記載の保険証はまだ交付前...結局、委任状に記載する住所を運転免許証記載の住所に合わせて再記入することにしました。ここで新たな問題が発生。委任状を再記入にあたって、
「契約者本人の自署」または「契約者本人の記名押印」が必要です。
とあるわけです。転居したCが委任状を再度記入するにはそれから更に二週間を要しました。この時点でかなり意気消沈しています。自分には携帯電話の名義変更は無理なんじゃないかと...

再度、自分を奮い立たせてドコモショップに予約を入れたのは、名義変更の必要が生じてから七週間後です...


ようやく手続きカウンターまで案内されました。やれやれと思いながら手続きが進むのを待っていると新たな問題が...
委任状の注文内容欄にある、

□名義変更+dポイントクラブ入会

のチェック欄に✔がなかったのです。目眩が...Cからの委任状でCがその場にいない中、ショップ店員の眼前でAやBが✔を書き込むわけにはいきません。

とって返して30分弱、ようやく✔が適切に記された委任状を提出、名義変更が完了致しました。めでたしめでたし。

疲れました。


ここからが本論なんですが、事前に必要書類を確認して、問い合わせていても、ドコモショップに延べ四回赴き、七週間かかって携帯電話の名義変更が完了したわけです。

巷間で、外出を控えるというか、人が集まる場に行くのは控えましょうと言われる中、四回もドコモショップを訪れることになりました。リモートだ、オンラインだと持て囃される一方で、回答の不備、記載内容の不一致とか自署といった問題で名義変更に七週間の時間を要しました。チグハグ感が否めません。

これは通話、SMS、二段階認証の本人確認用に使用しているガラケーの話です。スマホだ、dポイントだ、G5だと煽る前にこんな程度の手続きはオンラインでできるようにナントカナランノカ?、というのが率直な印象です。

以前、AI技術の進歩で消滅する仕事という話題が衆目を集めましたが、AI以前の話です。事前に確認しても必要書類が解りにくく、自署や押印のある委任状の必要性、実情より書類の整合性を優先、などを鑑みると、ドコモショップの対面業務はなくならない、なくす気がないことがよく理解出来ました。

この一連の手続きは八月には完了していましたが、九月に入ってドコモ口座を利用した、電子決済サービス不正引き出し事件が発覚しました。

これはドコモ口座を、ドコモの携帯電話契約者のみの開設に留めず、メールアドレスを保有している不特定多数の開設まで間口を広げたことが原因です。ドコモとしては他者の携帯電話ユーザーにもドコモ口座の開設、利用を開放することで、キャッシュレス決済等の金融サービス事業の拡大、新規契約者の誘引を目論んだのだろうと、容易に推測できます。自社の携帯電話契約、契約の名義変更には厳格な本人確認を求める一方、自社利益の足がかりになりそうなドコモ口座開設には匿名での開設を許可するという...ユルユル感、チグハグ感は否めません。チグハグ感が否めません。

これは通話、SMS、二段階認証の本人確認用に使用しているガラケーの話です。スマホだ、dポイントだ、G5だと煽る前にこんな程度の手続きはオンラインでできるようにナントカナランノカ?、というのが率直な印象です。

以前、AI技術の進歩で消滅する仕事という話題が衆目を集めましたが、AI以前の話です。事前に確認しても必要書類が解りにくく、自署や押印のある委任状の必要性、実情より書類の整合性を優先、などを鑑みると、ドコモショップの対面業務はなくならない、なくす気がないことがよく理解出来ました。

この一連の手続きは八月には完了していましたが、九月に入ってドコモ口座を利用した、電子決済サービス不正引き出し事件が発覚しました。

これはドコモ口座を、ドコモの携帯電話契約者のみの開設に留めず、メールアドレスを保有している不特定多数の開設まで間口を広げたことが原因です。ドコモとしては他者の携帯電話ユーザーにもドコモ口座の開設、利用を開放することで、キャッシュレス決済等の金融サービス事業の拡大、新規契約者の誘引を目論んだのだろうと、容易に推測できます。自社の携帯電話契約、契約の名義変更には厳格な本人確認を求める一方、自社利益の足がかりになりそうなドコモ口座開設には匿名での開設を許可するという...ユルユル感が否めません。

これを受けてドコモ口座の本人確認がオンラインで始まるようです。
オンラインで本人確認?...これができて契約の名義変更がオンラインでできないわけがありません。単なる怠慢です。ドコモ口座云々以前に根本の携帯電話の契約に関わる本人確認をとっととオンライン化するべきです。

自社の損害が発生すれば迅速に対応、契約者の名義変更の本人確認には書類や押印を要求...って、全くもって顧客の利便性軽視、ユーザー視点の欠如です。

果たして契約の名義変更といった、これまでドコモショップの予約、来店が求められた手続きのオンライン化が進むのでしょうか。少なくとも、名義変更や口座開設に拘らず、本人確認の厳格化は間違いありません。

今後再び、名義変更の必要が生じた際、当事者以外手続き不可とか、そもそも名義変更を認めないという、オンライン化されないままの本人確認厳格化、つまり間抜けな対応に陥る恐れがあることを示唆しておきます。

アベノマスク配布、Gotoキャンペーン、レジ袋有料化といった春先からの疑問符のつく施策に通底したチグハグ感を禁じ得ません。

昨今、新たに役所を作ってデジタル化とか、行革相が押印廃止とかブチ上げているわけですが、半信半疑、というか懐疑的、胡散臭い目でみています。その施策は社会の効率化、利便性向上に寄与するのだろうかと。なんだかデジタル化、押印廃止自体が目的化して生産性は上がるどころかかえって低下、そんな結末が脳裏を過る今日この頃です。

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