2019年5月10日金曜日

補修 その後

以前のエントリで補修した万年筆のその後です。使用しているとやはりインク漏れが再発しました。UV硬化接着剤はクラック補修に効果がないわけではありませんでした。しかしながら、筆記時ニブに筆圧がかかり、接着したクラックを開く方向に力が加わりますからUV硬化接着剤の接着力では耐えきれなかったようです。丁度ニブで首軸を抉る格好になっていて、その上梃子が効いていますから相当強力にクラックを埋めて接着できないとインク漏れは防げないことが解りました。

結局、専門店の力に頼ることにしました。筆記具修理専門の工房です。クラック補修で済めばと依頼し、修理完了後筆記するも数日でクラックが再発、インク漏れが発生しました。
クラックの再発は、この万年筆が細身である上、円筒状の樹脂製首軸に厚さがないことに依るようです。クラックを一度補修しても、筆圧に耐えれるまでの接着強度が得られていないということです。

最終的に、新規に首軸を製作してもらい、やっとというか,遂に解決に至りました。自力ではできませんでしたけど。

上写真が新調したエボナイト製首軸です。薄肉樹脂部材の、強度が求められる補修の難しさを再認識した次第です。

2019年5月8日水曜日

点灯



特筆するほどではないのですが、事が上手く運んだので備忘録として。

手元にあった万年筆です。永らく放置状態でした。

ちょっと使ってみようと、水洗を始めました。洗面所のシンクに水を張り、キャップを外した万年筆を浸漬しました。数日間、幾度となく水を換え、溶け出した古いインクを取り除きました。ある程度の処で首軸を外して、また数日間程、水に漬けて首軸や胴軸内に残った古いインクも溶かしだす算段でした....が、首軸が強く固まって緩みません。想定外でした。

胴軸を押さえて、表面がツヤ消しの樹脂製首軸を素手で回しても滑るばかりです。滑り止めに輪ゴムを首軸に巻きつけて回しても滑ります。

で、”万年筆”、”首軸”、”固着”、”回らない”等の語で検索してみたわけなんですが、有用なサイトは見つかりませんでした。”首軸が緩まず困っている”という例が検索されないのです。首軸は外れて当たり前の話なのか、或いは固着した首軸など容易に思いつく手段で外すことができるのか...いずれにせよ、取るに足らない話で、ネットにいちいち公開するほどではないということかもしれません。

であれば、自力で解決するより他ありません。工具を使って外すことになるのでしょうが、首軸や胴軸を工具で傷をつけたり、破損の懸念があります。首軸と胴軸が強固に固着した状態で、樹脂製の首軸を工具で咥えて強引に回せば、樹脂部分が破損しないとも限りません。

その心配を念頭に手持ちの工具を並べてみれば、
ペンチ(3)かプライヤ(5)が順当な工具でしょうか。傷を付けないという点ではソフトタッチプライヤ(2)が好ましいのですが、如何せん、咥え径が大き過ぎて首軸を咥えられません。パイプレンチ(1)は最後の手段です。固着が強すぎた時、破損覚悟で使用するつもりでした。

問題は工具で首軸を咥えて回す際の傷付きと滑り防止のための材料です。幅広の輪ゴムを巻きつけた程度では滑っていましたから。

一連の問題を調べていた時、ペン先を首軸から外すためにゴム板が活用されていることを知りました。確かにゴム板、ゴムシートならば首軸に巻き付けて使えるわけですが、使えそうなものが身近に思い当たりません。それを手当するためにわざわざホームセンターや100円ショップをうろつく気にもなりません。

数日間、何かないか、どうしたものかと思いあぐねていました。

でですね、必要なのは入浴でした。やはり血行が良くなると啓示があるわけです。以前のエントリ内で、隙間ノズルにゴムチューブつけて掃除機を使っていたのですが、この時のゴムチューブの端があることを入浴中に思い出しました。これを適当な長さに切って切り開けば使えるのではないかと。

結果的にはプライヤ(5)で首軸部分を咥えることで外れました。それでもペンチ(3)では滑って空回りしましたからそれなりに強く固着していたようです。
上写真の右のようにプライヤで胴軸を平行に挟むことでしっかり固定して緩めることができました。

それがどうしたと言われればそれまでなんですが、”ゴムチューブを使う”を気づけたことがちょっと嬉しかったので...

2019年5月5日日曜日

遊技

一時よりはやや冷めたものの、未だキャッシュレス決済に纏わるニュースへの高い関心が続いています。

そんな中、
パチンコの換金をなくす方法について
というブログエントリが目に止まりました。該エントリ内では、いわゆる三店方式と称されるパチンコの換金と、キャッシュレス社会との関わりについては全く触れられていません。

ただ、昨今のキャッシュレス決済導入の動きはこういったパチンコを含む賭博分野にも影響が及ぶであろうことは容易に想定できます。

少し考えてみようかと。

ちなみに上記エントリの主旨はキャッシュレス決済と全く無関係で単に端緒としたに過ぎません。

競馬や競輪に代表される公営ギャンブル、ついでに宝くじのような富くじへのキャッシュレス決済は、導入に際しおそらく障壁は低いものと思われます。大阪での開業が云々されているカジノを念頭に置けば明らかです。元々、現金そのものではなく換金可能なチップやコインを使いますから。これが電子マネーや仮想通貨等のデジタル通貨というキャッシュ代替情報に置き換わるだけです。本質的にギャンブルとキャッシュレス決済には高い親和性があると考えます。

では、現行法では娯楽、遊技であって賭博とはされていないパチンコはどうでしょうか。

賭博であるならば話は話は簡単です。スマホによるQRコード決済か電子マネーカードで玉を借りて弾き、運良く手持ちの玉が増えればパチンコ店からの退出時に玉数に応じてスマホか電子マネーカードで払い戻しを受ければいいわけです。

パチンコもギャンブルと同様にキャッシュレス決済導入のハードルが低いのは間違いありませんが、そのまま導入すれば紛うことなく賭博行為に該当します。

そこで三店方式の登場となります。

簡単には、遊技客が出玉をその玉数に応じてボールペンやライターの石等の特殊景品に交換、該特殊景品を景品交換所に持ち込み売却して現金化、といった流れです。

この一連の流れの中にキャッシュレス決済がどう入り込むか、という話になろうかと。

ここで、特殊景品と通常景品の定義について少し調べてみました。知らないことが結構あるようですので。

まず、法的には”景品”ではなく”賞品”のようです。これは、”パチンコ遊技の結果(=出玉数)が遊技者の技量に依る部分があり、全く偶然によるものではない”ことから、出玉は遊技者の技術?努力?で獲得する物品は賞品である、とのこと。

この出玉数が遊技者の技量に依るという点は、パチンコが賭博ではない理由の一つにもなっています。まぁ、賭博に該当させないために遊技者の技量云々という理由を持ち出したのかは存じませんけど。ただ、本エントリではよく見聞する景品の語を使います。

この理由と、刑法第百八十五条(賭博)の例外、
ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
によって、一時の娯楽に供するものを景品としているパチンコは賭博ではないことになっています。

で、当然一時の娯楽に供するものとは何かという話になるわけです。調べてみると、金銭は例え少額であっても非該当(賭博罪が成立)、但し、昼食代に充当する等、少額で直ちに費消される場合は該当(賭博罪は不成立)、その他換金容易なものではない飲食物、煙草、菓子等該当するようです。

賭博罪が成立しないよう、この考え方を基に風営法第十九条で、
...国家公安委員会規則で定める遊技料金、賞品の提供方法及び賞品の価格の最高限度(略)に関する基準に従い、その営業を営まなければならない。
と規定され、この国家公安委員会規則で定める基準が、
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則 第三十六条の2と3にあります。
2 法第十九条の国家公安委員会規則で定める賞品の提供方法に関する基準は、次のとおりとする。
一 次に掲げる営業の種類に応じ、それぞれ次に定める物品を賞品として提供すること。

イ ぱちんこ屋及び令第八条に規定する営業で遊技球等の数量により遊技の結果を表示する遊技機を設置して客に遊技をさせるもの 当該遊技の結果として表示された遊技球等の数量に対応する金額と等価の物品
ロ (略)
ハ (略)
二 前号イに掲げる営業において提供する物品は、客の多様な要望を満たすことができるよう、客が一般に日常生活の用に供すると考えられる物品のうちから、できる限り多くの種類のものを取りそろえておくこと。
3 法第十九条の国家公安委員会規則で定める賞品の価格の最高限度に関する基準は、九千六百円に当該金額消費税等相当額を加えた金額を超えないこととする。
具体的には、100個の玉で交換できる賞品は400円までの物品となります(第三十六条 二 イにより玉一個につき四円を超えないと定められており、玉の総額と等価の物品との交換物品の価格は国内市場の流通価格の範囲内です。

玉一個四円とすると100個の玉で市販価格400円の物品と交換ということです。市場価格以下、極端にはこの例で400円の物品を200円として、100個の玉で二個の物品と交換することは、換言すれば玉一個を八円とみなしていることになり規則違反です。

景品の最高額は税抜き9,600円とのこと。

又、上記規則にある、”客の多様な要望を満たすことができる”、”客が一般に日常生活の用に供すると考えられる物品”、”できる限り多くの種類のもの”については、警察庁からの指導?、業界団体の取り決め?で、

500種類以上の賞品を用意する
500台以上の設置台数がある営業所では設置台数と同数の種類の賞品を用意する
7品目(家庭用品、衣料品、食料品、教養娯楽用品、嗜好品、身の回り品、その他)の中から5品目以上を用意する
賞品はパネルや写真での陳列も可能だが200種類以上は実際に陳列する
カタログ方式で提供する賞品は全種類の半数を超えない
となっているようです。

加えて風営法第二十三条では、パチンコ店の禁止行為が定められていて、
現金又は有価証券を賞品として提供すること。
客に提供した賞品を買い取ること。
遊技の用に供する玉、メダルその他これらに類する物(次号において「遊技球等」という。)を客に営業所外に持ち出させること。
遊技球等を客のために保管したことを表示する書面を客に発行すること。
禁止されています。

これらの規制を踏まえた上で、パチンコ(の景品交換)にキャッシュレス決済はどう絡んでいくのかについて記してみます。キャッシュレス決済を利用することで、通常景品や特殊景品によるキャッシュレス換金というものが始まっていくのだろうか、という関心です。

通常景品

風営法では、有価証券を賞品として提供することは禁じられています。換金性が高いということが理由であるのは明白です。デパートの商品券、ビール券、図書カード、おこめ券やクレジットカード会社発行のギフト券が賞品として並ぶことはないのでしょう。賞品としてお米やビールに交換しようとするものの重すぎて持ち帰ることが大変、としてもおこめ券やビール券は賞品にはできないと思われます...思われますが、検索してみると”パチンコの景品としておこめ券を取った”という話がありました。真偽は不明です。カタログで注文して自宅へ配送というのがせいぜいだろうとみていましたから。

ただ、昨今のネットワーク技術の進歩は、これら金券に限って換金が容易、という状況に留まらせていません。オークションサイトやフリマサイト等、物品を換金するハードルは大きく下がっています。かつてはリアルの質店や不要品買取店に限られていたわけですが、ネットを介したツールにより比べものにならない位その自由度は大きくなりました。

残るは、合法の範囲内で特殊景品と同率以上に換金?売却?できる景品は存在するのか、という話になります。

例えば、コンサートやスポーツ観戦のチケットはどうでしょうか。開催日が過ぎれば無価値になりますから有価証券には該当しないと考えます。催しによっては上記風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則が定める税抜き9,600円を越える場合もあるでしょうが、チケット代金が限度額に満たない催しも少なくはありません。

よく知りませんが、嵐のコンサートであっても正規のチケット代金は税込み10000円以下のようです。イベント単位でみればチケットの発行枚数は限定的でしょうが、大相撲、野球、サッカー、フィギュアスケート、そしてオリンピックと、(開催日*イベント)の総和で捉えればパチンコの景品として十分な量が用意可能で、且つ合法のように思われます。”夢と希望のテーマパーク”の入場券も利用期間限定であれば法に抵触しないのではないかと。期日に、或いは期日までに使用しなければ価値がなくなる、即ち”消費”が前提ですから有価証券にはあたらないのでは、という理屈です。

実現可能性は知りませんけど。

これら景品としてイベントチケットの採用は、特段キャシュレス決済云々とは無関係で、単にパチンコの出玉をイベントのチケットと交換できる、ということに過ぎません。ある意味キャッシュレスですけど...交換後の換金の容易さも、”換金するならば”という仮定の下での話です。

では、仮想通貨やポイントが、キャッシュレス社会の中でパチンコの景品となる可能性については?ちょっと考えてみます。まず、仮想通貨に関しては交換所が存在し、明らかに換金可能ですから特殊景品として後述します。

ポイントについて記せば、現在様々なポイントが市中に氾濫しています。詳細はウィキペディアのポイントプログラムの項に譲ります。ここでは、Tポイントやポンタポイントといった直接には電子マネーにすら換金できないポイントと、nanacoポイント、waonポイント等、電子マネーの形には換金可能なポイント、各々を分けて取り上げます。

ただその前に、巷間で利用されている電子マネーは果たして通貨なんでしょうか?確かに現金でもクレジットカード経由でも、或いはnanacoポイント、waonポイントからnanacoの電子マネー、waonの電子マネーに入金はできます。単位も”円”です。

しかしながら、現金と同様に国内のあらゆる場所で商品、サービスの購入に使えるわけではなく、リーダーのある加盟店でしか決済に使えません。流動性が現金(=通貨)と同等ではないことになります。又、通貨は通常、発行主体である国家の信用によって価値が担保されていますが、電子マネーの場合、日本が破綻しなくとも電子マネーの発行体が破綻すればその価値は失われます。

通貨の、”価値の蓄蔵”という機能に着目してみれば、電子マネーには蓄蔵できる限度額や有効期限が定められています。更に、一度入金した電子マネーを再び現金化することは不可能で、電子マネーには”費消する”機能しかありませんん。

通貨ではなく、通貨相当の有価のポイントと捉えるのが適当ではないか、と考えています。

では、Tポイント、ポンタポイント、nanacoポイント、waonポイントといった、いわゆるポイントはどうでしょうか。上記電子マネーとの区別が曖昧です。おそらく、価値自体には大きな相違はないのではないか、というのが率直な印象です。但し、電子マネーは現金やクレジットカードから入金、若しくはポイントの交換で保有するのに対し、ポイントは商品、サービスの購入でその額に応じて付与されたり、アンケートに回答などの役務の対価として獲得して保有することになります。

電子マネーとポイントの両者は共に、加盟店ならば物品や役務の購入に充てることができます。電子マネーの呼称に相応しい、より現金に近い利用法としては、Suica等の交通系電子マネーからの乗車券に代表される交通系費用の支払い、電子マネーnanacoからのセブンイレブン窓口での公共料金や税金、通販商品の代金支払いが挙げられます。

この辺り、より現金に近い使い方ができる点が電子マネーとポイントの差異だろうか、と当初考えていました。ところが、Yahoo!公金支払いを利用すれば、全てに自治体に対応していないものの、Tポイントを税金やふるさと納税に充当できるわけです。

結局、電子マネーとポイントは使途で区別されるわけではなく、運営会社が対応しているか否かを恰も電子マネーとポイントのとして受け止めているに過ぎない、ということです。

やはり、大きな違いは入口の部分であって、現金やクレジットカード、或いはポイント交換で入金できるのが電子マネー、物品等何らかの支払いや役務に相応して付与されるのがポイントということになるでしょうか。

ただ、電子マネーのチャージと称される入金行為は、実は、通貨と等価でポイントを直接購入していると捉えれば、使用において両者に差はないことが理解できます。

ここから電子マネーとポイントの、パチンコの景品としての適用性を考えてみます。

上述したように、例え”マネー”の呼称が含まれていたとしても電子マネーは通貨と同等の機能を有するわけではなく、むしろ一種のポイントとみなすのが妥当です。

様々な物品購入に充当可能だが支払いに使える店舗は限定される、換金は不可能、払込用紙を用いたコンビニ払いに使用できる(nanacoポイント)、Tポイントは納税に充当可能といった部分が特徴であり、現金との相違点です。

改めて見ると、実は電子マネーとポイントはパチンコの景品として好適なんじゃないかと。出玉数を特定比率で電子マネーやポイントに換算して遊技者各々のアカウントに付与するだけですから技術的にも実現容易です。

なんとなく、上述の風営法第二十三条に記されている禁止行為
”遊技球等を客のために保管したことを表示する書面を客に発行すること。”
に抵触するように思いますが、遊技球ではなく交換した電子マネーやポイントですし、書面の発行もありません。

電子マネーやポイントを景品として採用すれば、適法で便利な上、法的にグレーな三店方式によるパチンコの換金は減るでは、という見方をしています。キャッシュレス化の実現です。本来とは別の意味のような気がしますけど。


特殊景品

通常景品として電子マネーやポイントが採用されるならば、幅広い物品やサービスとの交換が可能となります。納税や公共料金の納付さえ可能となります。結婚式の引出物で昨今珍しくはなくなったカタログギフト、恰もこのカタログのようなものでしょうか。ただ、掲載してある景品種類莫大、という違いはありますが。

ただ、そうは言ってもパチンコの出玉の換金需要は尽きないはずです。電子マネーやポイントは現金とは等価ではありませんから。

では、電子マネーやポイントの特殊景品としての適合性はどうでしょうか。これは、電子マネーやポイントを、パチンコ店が現金に交換、即ち買い取るのではなく、三店方式に則ってパチンコ店とは別経営の景品交換所が買い取る体をなすことが必要です。

これは単に電子マネーやポイントを一定の割引率で買い取り(=現金と交換)するだけの話です。交換所が買い取ったポイントは再びパチンコ店に卸すと。この還流において、客-景品交換所-パチンコ店間で直接に交換行為ができないならば、電子マネーやポイントの発行元が仲介することになり、三店方式どころか四店、五店方式となり更に適法性が高まります。

....あまりに適合性が良すぎて認められない、というのが正直な印象です。全くシームレスにシステムが構築できてしまうのではないかと。

つまり、キャッシュレス化が喧伝され社会に広く浸透しようとも、パチンコについては現状のまま何ら変わらない、というか変えられないのではないか、と推察します。

電子マネーやポイントではなく銀行振込もキャッシュレス化の一手段です。パチンコの出玉と交換した特殊景品の売却代金を口座振込みにしてキャッシュレス化を図るということです。現行で直ちに実現可能のはずですが事例を知りません。

景品の売却代金は、”一時の娯楽に供する程度に少額であるはず”でこの支払いに銀行振込という手段がそぐわない、という点は理由の一つかもしれません。ただ、最大の理由は、特殊景品の売却代金を再びパチンコに投入させるには現金での支払いが好ましい、ということに尽きるとみています。
他、振込記録が残るというのもパチンコ店、遊技客にとって避けたい部分かもしれませんが、遊技客の売却代金のパチンコ店への還流以上に重視される理由が思い当たりません。

結局、キャッシュレス決済が広く社会に浸透したとしても、パチンコ店における三店方式、即ち特殊景品を介した現金支払いは継続していくわけです。パチンコ業界が存続する限り。

現金決済に伴う無駄を取り除くことで、決済の効率化を図るのがキャッシュレス決済の目的です。ただ、パチンコ業界においては、賭博行為に非該当とするため非合理的、非効率的な三店方式を継続させる必要があるわけです。

このような、キャッシュレス決済が導入不可だったり、なじまないケースは、まだ他に相当程度あるとみています。

生産性向上を目的として社会にキャッシュレス決済の普及を促しても、キャッシュレスと現金、両決済方式が永続的に併存し続けるというのはむしろ非効率ではないかと思わないでもありません。

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もたもた書き連ねている間、2024年度に新札発行という報道がありました。

祝賀ムードを盛り上げ、政権の実績を謳う参院選対策なんでしょうが、現金決済がなくならない証左でもあります。一時の過熱化した喧伝でキャッシュレス決済は急激に浸透しました。ただ、あくまで普及し易い部分についてのみ現金決済から置き換わったに過ぎず、今後キャッシュレス決済の増加率は頭打ちになり、足踏み状態に向かうものと推察します