2021年11月28日日曜日

伝承

ここの処、国会議員の文書通信交通滞在費に耳目が集まっています。目的は費目の通りで、各国会議員に月額100万円支給される手当です。使途についての報告や公開の義務はないことになっています。

きっかけは、今年10月31日の第49回衆議院議員総選挙でした。この選挙で当選した議員にも10月分が全額支給されていて批判の声が上がりました。結局、日割り支給にすることが国会で法改正されて沈静化に向かっているようです。

ただ、以前から燻り続けている”報告や公開の義務なし”は手付かずです。こちらの方がより問題とみていますが...

更に言えば、信頼に足る議員の公益に資する活動に伴う適正な費消であれば、本来的には報告や公開は不要のはずです。しかしながら、報告や公開の義務化を求める声が上がるということは、まぁ、浪費とか無駄遣いに留まらない、公金の私物化の疑いが払拭できないということなんでしょう。

それ程までに国民の代表たる選良は信用されていないわけです。この点こそが重く受け止められるべき話で、我が国議会で連綿と踏襲されてきた伝統です。

先日、その伝統の下決定された今年度の補正予算案が報道されました。その中で、「新しい資本主義の起動」に8兆2532億円とあって、その”新しい”とはナンジャラホイとも思う今日この頃ですが、「防災・減災など安全・安心の確保」に2兆9349億円の”安心”に、”今尚この語を使うのか?”という感を拭えませんでした。

”安心の確保”とは取りも直さずゼロリスクの実現に他ならないわけです。自らに支給された文書通信交通滞在費の使途ですら不審な支出が疑われている選良から、ゼロリスクの実現を宣われても、信用しろと云う側に無理を感じる次第です。

結局、文書通信交通滞在費の日割りや公開といった法改正すら見送りにした、つまり自らを律することすら拒絶と云う結果になりました。

非公開の費出に対し不信感を募らせ、だからといって透明性を高めて信頼を得んとする努力すら放棄しているわけです。そういった姿勢で、安心を確保してゼロリスクを希求する声に応えることができるのか、甚だ疑わしいと言わざるを得ません。

安心とは心情の一つの状態であって、これを確保するにはゼロリスクの完全な実現が必要です。換言すればゼロリスク状態の完全な証明がない限り僅かであっても不安が残るわけです。そうなると、この完全な証明がなされるまで、ゼロリスクを希求する声は止まず、延々と安心のための施策を講じ続けることになります。


(もう少し追記します)

2021年11月27日土曜日

反攻

そりゃ、あれだけCOP26やら自動車のEV化とかで騒いで、

━━石油は使わないよ。悪事だから。━━

と見得を切られればそれを生業にしている産油国がヘソを曲げるのも当然です。

原油価格が高騰する中、日本政府はアメリカ・バイデン政権の要請を受けて石油の国家備蓄のうち国内消費量の数日分を放出することを正式に発表しました。(石油備蓄放出へ 決定の背景 ガソリン価格などへの影響は?

”対策している”というポーズ以外に意図を解りかねています。

ガソリン価格抑制で石油元売りに補助金、経産省は監視へ

とか...減税でも還付でも国内需要家を直接的に支援できないのか、と。

もう一つ、石油輸入国ランキングの中で日本は現在上位には位置していません。つまり日本以上に負担感が強い国があるということです。これを機会と捉えて対外的な戦略というか、外交カードにできないか、とも感じます。

石油悪玉説が跋扈している時、産油国や米国シェールオイル業界の声を全く見聞しなかったことが妙に気になっていたのですが。しっぺ返しの意図も込められているのかもしれません。