2019年4月2日火曜日

刻印

新元号が発表されました令和だそうです。

ここの処、”平成最後の...”の文言連呼が耳につき、腹一杯で胸焼けしているのですが、しばらくは溢れる”令和”で消化不良を起こしそうです。そこのアンタ、万葉集の本を買って”令”と”和”の文字を確かめただけで放り出すんじゃない!

令和饅頭とか、令和チョコ他、令和記念商品が続々発売されるのでしょうか。商売に勤しんで下さい。

でですね、令和の”令”の文字なんですが、上写真では最後の一画がハネで終わっているように見えます。このブログサイトは日本語フォントの種類に乏しいため上手く表示できませんが、最後の一画は留めるか、払うと思っていました。又、ゴシック、明朝体では令ですが、楷書や行書体では”マ”の形をよく見ます。写真は筆文字ですが”マ”になっていませんが。

これらは現在、文化庁の常用漢字表によればどっちでもいい、ということになっています(常用漢字表 2章4-(6) エp.58)。これは昭和24年の当用漢字字体表以来受け継がれてきた考え方のようです。ただ、”マ”ではない”令”の最後は留めるか、払うと思っていました。まさかハネるとは...いずれも誤りではないとしても一般的にどれが多用されているのでしょうか。

次に”和”の文字ですがのぎへんの縦画の最後はハネてあるように見えます。こちらも上記当用漢字字体表のまえがき(備考)に既に”ハネる/ハネないは拘束しない”と記載されていました。

ところが、明確に誤りではないと示されたのは、つい最近のことのようです(常用漢字表(平成22年内閣告示第2号) p.9 「(付)字体についての解説」)。それでも周知されず、平成28年2月には、
常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について
も出されています。ただ、きへんのぎへん”の縦画は留めるのが正しくハネるのは誤りという認識は社会にかなり浸透してしまっているのではないだろうか、というのが正直な印象です。

推測ですが、過去の義務教育の指導要領に”教科書(明朝体?教科書体)こそ正しく他は誤り”といった部分というか、風潮があったのではないでしょうか。ハネても留めてもどちらでもいいが、留めるよう指導して統一しよう、という意向があったのでは、ということです。それがいつしか”ハネるのは誤り”に絶対化されてしまう...似た話は社会のそこここで見聞するような。

であれば、当時の教員も生徒も刷り込まれてしまっているわけです。勿論、私も含まれています。これが是正されるには何世代もかかるだろうなぁ、と感じます。そういった指導を受けた教員や教育を受けた保護者の子弟、特に、教育熱心であればあるほど、”きへん、のぎへんの縦画をハネるのは誤り”という誤りが受け継がれていくわけですから。

当時の、正誤を迫るというか、曖昧さを容認しない姿勢、これを継承した結果が、最近しばしば耳にする、不寛容な現代の根源だろうか、そんな思いが頭を掠めた次第です。

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