以前から
”させていただく”という表現が気になっていました。勿論、自分自身も使ってきた自覚はあるのですが、ここの処、違和感が付きまとっています。
特に、飲食、飲食店に纏わるレビュー、ブログでこの表現を目にした時、首を傾げることがよくあります。
少し例をあげてみます。
至るところに氾濫している、”させていただく”で、悪酔いしてしまいます。
- こちらの記事を参考にさせていただいて
- お邪魔させていただきました
- 食べさせて頂きました
- 観賞させていただくことに
- お話をさせていただきました
- 持ち込みさせていただきました
- ご一緒させていただきました
- 感動させていただいた
- 参加させていただきました
- お持ち帰りさせていただきました
- 食事させていただきました
- 訪問させていただきます
- お話させていただいて
- 仲良くさせていただいてる
- テイスティングさせていただけました
- 利用させて頂いちゃいました
- お伺いさせていただいています
- 企画させていただきました
- 利用させていただきます
- 試食させていただきました
- 突入させて頂く事に
- 堪能させていただきました
- 投稿させていただきました
- 点数は基本的に3点とさせていただいてます
- 多用させていただいてます
- この点数とさせて頂きます。
- ★は3つ半とさせていただきました
- 撮影させて頂きました
- 予約をさせていただいて
- 写真を追加 させて頂きます
- 評価をさせていただきました
- ゆっくりさせていただきました
- 訂正させていただきます。
- お勉強をさせて頂きました
- リピさせていただきます!!
- シェフもお話しさせていただく
- 予約をさせていただき、
- 満足させて頂きました
- オーダーさせて頂きたいですね
- 写真3枚アップさせていただきます。
- いつも仲良くさせて頂いている
- 投稿をさせて頂こう
- 注文させていただきます
”させていただく”は使役の助動詞”させる”と、謙譲の”いただく”の組み合わせです。ある動作を誰(何)かが行うよう強いる、或いは、誰(何)かがある動作を行うことを許可する、”させる”です。
この時、誰(何)かはその意志がなくとも動作が強いられ、逆に、意思があっても許可されないなら動作を起こせません。
で、”させていただく”の誰(何)かは私のわけです。では、誰(何)が私に”させる”のか、更に、”いただく”において、私は誰(何)に対して謙っていることになるのかについて考えてみます。
上記の例は食べログのレビューや食についてのブログから引っ張ってきており、私に”させる”誰(何)かは、飲食店、食べログの投稿システムとその閲覧者、ブログ読者、といった辺りが該当します。
少し、手前勝手に誇張して補完してみますと、
――本来、私如き分不相応な者がそういった大役を担うのは力不足であるにも関わらず、その任に当たる機会を与えられ恐縮の限りです――こんなところでしょうか。
上記1〜43の例は、該誰(何)かに対しそこまでの謙譲が求められる行為とは捉えられません。例え、相当程度敬うべき同席者の場合であったとしてもです。
同時に、この却って慇懃無礼感、白々しさを醸し出す、行き過ぎた謙譲は果たして何に由来しているのだろうか、そういった思いが頭を擡げてくるわけです。
――誰であっても取り敢えず敬語っぽい表現をしておけば当たり障りはないだろう――これは決して対象を敬っているわけではなく、摩擦を避けるための保身です。意識しての、或いは無意識でのことかは存じませんが、そういった心理の見え隠れが白々しさの根本ではないだろうか、と推し量っています。
面従腹背ではないですが、上っ面で謙遜していても、中身との整合性の欠如に違和感を抱いてしまいます。
例えば、愛知を中心とした中部地方の飲食に纏わるブログで、天然鰻を食したエントリをしばしば見かけます。そういったブログ内にも蔓延していたりもします。”させていただきます”が...
前のエントリにも記しましたが、鰻資源の逼迫を鑑みて、”させていただきます”の一言で天然鰻を躊躇いなく口にできるものなんだろうか、と思うわけです。料理写真を公開、味わいを云々するための免罪符的な役割を”させていただきます”に担わせているのかもしれません。
資源枯渇に思いを馳せるわけでもなく、嬉々として天然鰻に舌鼓を打っておきながら、
”注文させていただきます”
”評価させて頂きます”
”写真を公開させていただきます”はないだろうと...己を卑下、謙遜してるのか何だかよく判りませんが、少なくとも遠慮していないのは確かでしょう。
それほどまでに”させていただきます”なら、
”喰うな”
”注文するな”
”公開するな”というのが率直な印象です。
ところで、先だって、ISISに日本人ジャーナリストらが殺害された際、
”その罪を償わさせる”と安倍首相は宣言したわけですが、これは”させていただきます”の変形なんでしょうか。
今後もブログを続けさせていただきます。
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