2015年1月24日土曜日

圧迫

先日、名古屋市郊外の道の駅、正確には併設されている地元産品の公的な直販施設内にある飲食店で昼食を摂った時の話です。

以前から、民間経営のドライブインが衰退する一方で、公的機関、半官半民、或いは第三セクターの運営によって道の駅が取って代わってきていることは存じていました。

これまでも他の場所で立ち寄ったこともありますし、随所の道の駅がメディアでも取り上げられているのを目にしています。

かつての民営のドライブインという営業形態は、高速道路網の発達でサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)によって駆逐されてしまいました。

一方、一般国道におけるPA類似の役割を担う施設として道の駅は増加の一途です。

上記施設は設置、経営、営業に、比率はともかく直接、間接に公的資金(=税金)が投入されているわけです。投入の形態は事業委託、第三セクターや関連子会社への出資等、様々です

道の駅という施設は、その実施がそれほど古くはないということもあるのでしょうが、冒頭の道の駅も含めて立派な施設ばかり、という印象です。正に小奇麗なパーキングエリアと形容できます。

昼食も突出して旨かったわけではありませんが、定食なら1000円前後で、焼きそばやカツサンドとなると更に安価に用意されていました。

少なくとも、名古屋市内の中心部の平均的な定食屋と同等以上で、一昔前のハズレのドライブインのように不味くて高いということはありませんでした。

立ち寄った食事処は、合い席を求められた上、更に数人の待ちができており、平日にも拘らずそこそこ賑わっていました。

食後、道の駅施設内をぶらぶら物色していた時、何とはなしに去来した幾つかの思いについて記します。

該道の駅は決して人里離れた山間部ではなく、付近に飲食店、スーパーがある場所に位置していました。客層観光や仕事で移動中の他所からの訪問客ばかりではなく、昼食のために立ち寄ったであろう近隣の住民も少なくなかったかと。特筆すべき点はなくとも、並以上の食事が提供される地元の昼食の場にもなっているように見受けられました。

で、こういった広々とした駐車場を備えた公共の施設が、地元の昼食の場としての役割を持ってしまったとしたら、これは明らかな民業圧迫ではないか、と思った次第です。不公平な条件下、近辺の飲食店が生き残っていくのはなかなか大変だなぁと...

同一商圏にあるコンビニ間競争のような同一条件ではなく、公共施設を利用した民業と全くの民業の間の競争ですから。

高速道路という囲い込まれた環境下、独占状態で守られているSAやPAといった形を一般道にも持ち込もうという思惑なんでしょうか。

加えて、道の駅の収支はどうなんだろうか、経営状態は健全なんだろうか、といった疑問も脳裏を過ぎります。
なぜ道の駅は儲からなくても店を出せるのか   地方活性化とは名ばかりの「産直販売施設」

といった話もありますし...

リンク先の記事には経営不振に陥り、赤字が続く道の駅について触れ、道の駅の事業構造について論述されています。

記事によれば、道の駅の施設そのものは税金によって開発されており、施設整備の初期投資部分の回収を事業売上げから賄う必要がないとのこと。まぁ、皮算用はあるのでしょうが...

又、行政主導で建設された施設は立派過ぎる施設になりがちで、その過剰投資された施設には高い維持費が必要となります。この維持費を事業利益から拠出するだけでなく、自治体が予算を立てて維持している場合もあることが述べられています。
売上げの面で目標が低くても、事業が一見成立するようになり、一方、経費面では過剰投資のツケが運営にまわって割高なコストで薄利になってしまう。この「ダブルパンチ」によって、道の駅事業は、表向きは人がそこそこ来ていたとしても、地元で大きな利益を産んで、再投資がされていく、という理想的なサイクルにつながっていないことが多くなっています。
今回、道の駅に立ち寄って上記を実感したわけです。委託を受けた事業者にしてみれば正に至れりつくせりの圧倒的に優位な事業条件です。

これでは民間の同業が太刀打ちできる由がなく、淘汰されていくとみるのが自然ではないでしょうか。直接ではないかもしれませんが、民間の事業者が納税した公金の投入で道の駅を設置、場合によっては維持費も手当...

で、近隣の民間同業を衰退させ、担税力を奪っていくというのも如何なものかと。道の駅設置は確かに若干の雇用を創出するかもしれませんが、公的資金を投入しての赤字事業の継続には違和感を憶えます。

蛸が自分の足を喰っているようにも映り、予算、補助金といった公金の非生産的で、偏った分配、タカリ、浪費としか捉えられないわけです。

いっそ、地域の競合を全て廃業に追い込み、余剰人員を道の駅で雇用しますか。公的資金で....これでは社会主義国家ですが、この時の公金は誰に負担を求めればいいのでしょうかね。

事業単独で自立して収益を生み出せない施策、即ち、公金頼みでハコモノ建てて物品販売して食事を提供、これで地方創生が叶うとされているならばお笑いです

ふるさと納税にも似たものを感じています。似た構図ではないでしょうか。地方自治体が企画する特産品の通販のわけですが、やはり、そここに皺寄せ、歪というか民業圧迫だったり、全体としての税収減、不公平を感じてしまいます。

この制度も地方創生の策としてどうなんでしょうか。いずれ記します。

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