2018年12月26日水曜日

補修2

さて、装着していたインクカートリッジのインクを使い切ったので、前のエントリに続き再度クラックの補修を試みます。

まず、漏れ出たインクでよごれた首軸とニブ、胴軸、キャップを水洗し、5日ほどプラチナの万年筆インク洗浄液に浸しました。

それを水ですすぎ乾燥させた後、取り敢えずニブを外してみました。ニブは滑り止めに太めの輪ゴムを巻きつけて引き抜いた処、容易に外れました。続いてペン芯も引きぬこうとしたのですが、しっかり固定されているようです。

該万年筆の取説には、
ペン先はインキタンクの導管にしっかり連結しています。従って、どのような場合にも、ペン先を引き抜くようなことはお避け下さい。
との記述がありペン芯の取り外しは無理せず断念。外したニブは...外してしまったものはしょうがありません。
上写真はニブを外した首軸です。白く囲んだ部分にクラックがあり以前より目立っています。何度も弄ったせいかもしれません。

まず、ペン芯の空気が流入しそうな部分にメンディングテープを貼付し首軸内部の密封性を高めました。

で、前回と同様にクラックと思しき部分にスポイトで水滴を載せ、首軸を咥えて息を吸ってみると、確かに首軸内に水滴が吸い込まれます。息を吸い込む代わりに掃除機を使っても水を吸引できました。

後は低粘度で浸透性の高い補修材、接着剤を見つけてこのクラックを封止すればいいわけです。

このクラックを埋める材料を以前から調べています。万年筆の胴軸、首軸のクラック補修の事例もありましたが、決定的というほどの材料はないような印象です。先行例も含めいくつか選択肢を考えてみますと、

1.シアノアクリレート系接着剤

いわゆる瞬間接着剤。低粘度で高浸透性のグレードが選択可能。硬化後白化が生ずる、アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン等、特定の樹脂を溶かす、ひび割れを起こす恐れあり。

2.エポキシ系接着剤

二液混合接着剤。一般にはペースト状で高粘度。充填、穴埋め剤としては好適ですが、粘性が高いため細いクラックに充填することは困難です。これまで使用してきた中では釣り竿のガイドを固定するスレッドのコーティング剤が比較的低粘度でした。ただそれでも、クラックに浸透するほどの浸透性はなかった記憶があります。

3.UV硬化接着剤

自動車ガラスのひび割れ補修材として使用されています。該補修材の使用方法を見ると、ひび割れ部分を密閉してシリンジで減圧することでクラックに浸透させることができるようです。手持ちのUV硬化接着剤も硬化前は滴下できる程度に低粘度です。問題は、黒い樹脂の万年筆首軸のクラックに浸透できたとしてUVライトや日光で硬化できるだろうか、という点です。透明な自動車ガラスに使用する場合との大きな相異です。ただ、UV硬化性の黒色ネイル液は補修後の表面コーティング剤として使えるかもしれません。

等を挙げることができます。他にネット上ではネジやボルト、ナットのゆるみ止剤を使用している例がありました。ただ、そういったゆるみ止材は一般に嫌気性接着剤で、
金属イオン存在下で酸素を遮断すると重合が行われる、液状アクリル系接着剤
といった特性の材料です。用途も金属用接着剤と明記されていて、”樹脂を浸食することもある”との記載もあり選択肢から外しました。

話は逸れますが、この嫌気性接着剤の代表的商品といえばロックタイトです。この商品名を初めて目にしたのは今から40年ほど前、大藪春彦の小説でした。作品名は失念。その接着剤の”嫌気性”という変わった機能が心に残りました。だからといって使用を差し迫られた場合もなく、実物も目にしないまま今に至っています。これほど身近になっていたとはちょっと驚きです。

で、上記選択肢の中から取り敢えず3.UV硬化接着剤を試してみました。手元にあった"5 Second FIX"という製品です。このUV硬化接着剤ですが、その名の通り付属のランプを5秒あてただけでは硬化しません。まぁ、天日に少なくとも数時間曝露すれば硬化するので使用しています。

前のエントリと同様に首軸を掃除機に繋いで、

 接着剤を塗布、

 天日に晒して硬化させた状態が下写真です。

 接着剤塗布部分がやや盛り上がっています。少し耐水ペーパーで削ったり、表面をマニュキュア除光液で拭いたりしましたが、これ以上はインク漏れが抑えられ正常に筆記ができることを確認してからとします。試し書きは問題ありませんでした。しばらく使用してインク漏れの有無を確かめます。

2018年11月26日月曜日

補修

手持ちの万年筆なんですが、
 ひどいインク漏れが起きます。
写真上のコンバータ装着、或いは、下のインクカートリッジを使用してもインク漏れが改善しません。書くことはできるのですが、キャップを2、3度嵌め外しするだけで、
白丸で囲んだ首軸部分にインクがべったりとつきます。
当初は、大きく孔が空いたペン芯が使われているため、キャップの取り外しで、この部分からインク漏れているのかも、と考えました。ただ、それにしても首軸がべったりとインクで覆われていて、ひどく汚れています。うっかり首軸部に触れません。

首軸を拭いた後、爪を立てて触ってみると僅かに引っ掛かる箇所があり、首軸部のひび割れが疑われました。ニブと首軸を水洗後、首軸内部に水が残っている状態で、コンバータの差し込み部から息を吹き込んでみました。
内部から漏れた水滴がついています。 首軸部に洗剤を塗布して同じように息を吹き込むと、
明らかにひび割れがあることが判りました。このクラックは手元の道具では撮影できませんでした。LEDライトで照らす角度を変えながらルーペで見て、髪の毛ほどの細い傷のような筋がなんとか視認できる程度でした。

さて、どうしましょうか。

取り敢えず上写真を参考にクラックと思しき位置に水滴を載せ、指でニブの孔を塞いで上記と逆に息を吸い込んでみた処、水滴は首軸内に吸い込まれました。何か接着剤を載せて首軸内に吸引してやればクラックを塞ぐことができるかもしれません。

試しにネイル?、マニキュア?違いがよくわかりませんが、とにかくそういった類の化粧品で、トップコートと称されるおそらく樹脂が溶解された透明の溶液を該当部分に塗布しました。塗布後、ゴムチューブをつけた掃除機の隙間ノズルに首軸を継いで吸引してみました。




トップコートが首軸内部に吸引されて多少なりともクラックが埋まるのではないかという、甘い算段でした...トップコートの乾燥後インクカートリッジを装着して試し書きしてみるものの、依然ひどいインク漏れは解消されませんでした。相変わらずキャップの嵌め外しで、細い僅かなクラックから漏れているとは思えないほど多量のインクが漏れ出ます。

そこで、応急処置的に該クラック部分にマスキングテープを巻いてみました。



クラックをテープで塞いでみて、それでもインク漏れが生じるならば他の理由を考える必要があります。これで該クラック以外のインク漏れの有無を確認できますが、見栄えは全く冴えません

このマスキングテープ貼付け以降、インク漏れは生じていません。このまま使用して、インク漏れの様子を見ながらインクを使い切った後、再度クラックを埋めてみます。

ところで、何度も首軸を水洗しているうちに、首軸内の部材が外れたようです。この樹脂製の透明で華奢な部材は...ナンダコレ?インクカートリッジやコンバータとペン芯とのアダプタなんでしょうか。

該部材にコンバータ、或いはインクカートリッジを差し込んでも先端部分までピッタリと装着できず、空間ができます。この空間部分がインクタンク?のような役割を担うのでしょうか。ここからインク漏れが起きているような気もしますが...

今、インクが漏れても構わないつもりで該部材を戻さずインクカートリッジを装着しているのですが漏れは起きていません。しばらく使い続けて様子を見てみます。
数日の使用でインク漏れが起きました。


マスキングテープの下で相当のインク漏れが認められます。抜本的な対策が必要です。




2018年11月16日金曜日

分別

いちいちパブリックサーバントはかくあるべし、などと大上段の物言いをするつもりは毛頭ないのですが、ちょっと程度が低いというか、意識低い系の集団なのかと疑わざるを得ないなぁと。

先日のクローズアップ現代では、相当抑制的に報じられていました。
ゆるキャラブームに異変!人気投票に”組織票”が…
渦中の四日市市長から出演の承諾を貰うにはそういう事前の打ち合わせがあったであろうことは想像に難くありません。

簡単には、大阪府東大阪市で11/17〜18に決定されるゆるキャラグランプリに際し、四日市は市長の号令の下、投票に利用するIDを約2万件取得したとのこと。このIDを同市の各部局に割り振り、フリーメールアドレスによる同市ゆるキャラである「こにゅうどうくん」への投票を要請したと報じられています。

単に組織を動員した投票だけでなく、職員一人当たり複数のIDを管理させることによる多重投票が指摘されています。更に、
投票方法について「メールアドレス1つにつき、毎日1回投票できます」
と、毎日の投票を促すという...市の担当者は「強制はしていない。ルール違反の認識はない」と強調しているそうです。

不正グランプリとまでは言いませんが、少なくとも”組織選挙の巧拙”、”(ルールの範囲内で)やった者勝ち”グランプリであるのは間違いない処です。

正に手段の目的化であって、公金使って遊んでんのか、と誹られるのも致し方ないかなと。本来、ゆるキャラ事業は地域の知名度向上、いわゆる地域おこしのための一施策に過ぎないという認識です。であるならば、生産性という視点から、ゆるキャラ事業に係るヒト、時間、予算といった投入資源と、ゆるキャラ事業によって向上できた知名度から得られた経済効果、この両者の比が精査されて然るべきです。

この日本全国に渡る一連のゆるキャラブームにおいて、真摯にゆるキャラの経済効果を考慮した上で該事業に取り組んでいるという自治体を寡聞にして存じません。穴を掘って埋める、何か動いていれば業務をしているつもりであるならば、それは大きな勘違いです。投入資源に対して何が生産されたか、それを適正に評価して次に反映させていく、いわゆるPDCAサイクルが廻ってこその業務です。

で、上述の組織選挙でゆるキャラグランプリを獲得したとして、果たして四日市市の職員は達成感は得られるのだろうか、素直に疑問に思います。”ルール違反の認識はない”という姿勢が市の総意であるならば、そういう体質と認識を改め、同様に現市長もルールの範囲内で組織選挙により当選した、そういうことかもしれません。

上記番組内で、四日市市長は、ご自身及び、市が行った組織選挙の正当性を主張されていました。しかしながら、語れば騙るほど墓穴が深堀されていき、自身の発言を撤回することがますます困難になるなぁ、といった感は否めませんでした。

公務の無謬性が具現化した一例です。

時同じ頃、愛知県尾張旭市では、

山尾志桜里氏が全面支援 尾張旭市長が“W不倫”トラブル
何を全面支援したのか、又、内容の真偽は存じません以前も記しましたが、政治家について”仕事さえちゃんと成果を上げるなら倫理上のスキャンダルは構わない”といった考えに与するつもりは毛頭ありません。

まぁ、悪名は無名に勝る、として来年のゆるキャラ(?)グランプに向けて”ヨッシー”擁立を提案いたします。ゆるキャラか不倫キャラかは知らんけど。

愛知七区の民度は盤石です。

2018年11月9日金曜日

衰亡

前のエントリに続けます。

鰻屋に事例を端緒に、将来的に飲食店の質的衰亡は避けられないのではないか、という思いに至りました。勿論、佳店は存続するでしょうが、全般の平均的な質は低下し佳い店が埋没してしまう、ということです。

昨今の出版不況と同じ道を辿っているようにも見て取れます。良書とまでは言わないまでも真っ当な本が、その他多くのどうでもいい本に埋没し、駆逐されていく...消費者を誘引する刺激的な、その一方で中身の伴わないキャッチコピーで購買意欲をかき立て、費用と時間を浪費せしめ、失望させ、新たな書物と向き合う意欲を減退させる、そんな悪循環にも似た状態を飲食の分野でも感じないでもありません。

いくつかの理由が挙げられ、その一つが出版と同じく過剰な粉飾であるのは間違いない処です。鰻屋の話が例外ということではなく、飲食の業界でこれまでもあった二極化が今後一層加速していくわけです。個人経営による飲食店はより厳しい存続の危機に直面していくものと思われます。特に問題と考えるのは良店ではなく、突出して秀でた部分はないものの、さりとてハズレでもない、無難な、いわゆる普通の店が苦境に立たされることを危ぶんでいます。

そういった店が、質の面で遜色のない、と言うかむしろ劣ることすらあるチェーン展開を進める大店に駆逐されていく様を見るのは、あまり気分のいいものではありません。

店主の高齢化、後継者難、商圏の少子高齢化といった避け得ない理由があることは承知しています。ただ、上述したような価値の粉飾と、食べログに代表される口コミサイトのレビューこそが該飲食店の存続を脅かしている主因である、と推測しています。口コミによる影響は出版分野以上ではないでしょうか。

昨今話題に上がる、消費税増税に伴う決済のキャッシュレス化導入への有形無形の圧力や軽減税率制度というのも、飲食業界の足を引っ張りこそすれ決して質の向上に寄与しないのは明らかです。飲食店に限ってはいませんが、キャッシュレス化については以前記しています。

本エントリでは、飲食店を疲弊させ衰亡に追い込んでいく、客による飲食店の評価、レビューといった、いわゆる口コミの力を考えてみます。

先日、NHKのクローズアップ現代+でも取り上げられていましたが、
暴言に土下座! 深刻化するカスタマーハラスメント
飲食業のみならず、スーパー、コンビニ等、接客が絡む業種で客からの無理難題、理不尽な要求、我儘、不当なクレーム、暴言によるトラブル事例をよく見聞するようになりました。場合によっては土下座の強要暴力沙汰に至ることもあるようです。

現実のトラブルにまでは至らずとも、その予備軍と位置づけられるネットの掲示板への不平不満の投稿となると膨大な事例が見つかります。口コミサイトへの不平不満や独善的評価の投稿は、抑制的な力が極めて弱いネットの匿名性によってエスカレートせしめられます。口コミサイトを不満のはけ口として利用し、”匿名で悪口を投稿する”、この行動で鬱憤をはらすことは、”大人の対応”という見方ができるかもしれません。店、店員とのリアルなトラブルにまで発展させない、という点で。

2018年11月4日日曜日

聖地

先日、軽トラ転倒騒動があったためか、今年はハロウィンに纏わる都知事や都議会議員の露出がほとんどありません。

こっちの都議会議員は離党やら週刊誌報道で、こっちの都知事は豊洲市場問題でそれどころではないのかもしれません。多少はイベントに出席しているものの、昨年までと力の入れ方は様変わりです。

元々、博報堂だかの広告代理店が仕掛けた人為的なイベントでハロウィンバブルといった感があります。数年前に火がつき、首長、議員を巻き込みつつ今年は炎上のピークを迎え、来年辺りポンプ車が登場、といった処でしょうか。つつがなく煽動の役割を果たした新聞、テレビなどのメディアも、来年は消火役に転じるのかもしれません。

今年も既にNHKは軽トラ転倒騒動を受けてか21:00のニュースで、
”終電で帰宅するように”とか、
”マナーを守って”
などと呼びかけていましたが、頭は大丈夫なんでしょうか。当該ニュースの視聴者は渋谷に行っていませんし、その時間に渋谷で騒いでいる仮装の連中が呼びかけを聞いている道理もないわけです。

まぁ、NHKとしては”ちゃんと呼びかけた”という事実を作ることこそが重要だったのかも。であれば理解はしますけど。

来年以降様々な対策が講じられるのでしょうが、渋谷がもはやハロウィンの聖地と化しているのは疑いようがありません。今後も都内のみならず各地方、場合によっては海外からもアレな人々が渋谷に押し寄せるのは明らかであり、これを押し止めるのは困難ではないかと。有料化や一定の強制性が導入されるのでしょうか。

有料化と共に代々木公園の開放などの声があるようですが、自由を制限した管理ハロウィンで一気に熱を冷ます目論見なのか...ふるさと納税フィーバーの終焉と時を同じくしてハロウィンバブルの崩壊が始まるのか、注意して見ておきたい処です。

このような不特定多数の参加者が集まるイベントでは当然の如く大量のゴミの散乱等、マナーの問題が発生します。花火大会、花見やバーベキューの場所となる海岸、河川敷、公園、海水浴場と同様です。これは避けられない、改善など望むべくもないとみています。しばしば民度の問題との指摘がありますが、匿名性が高く群集心理が働いている不特定多数の集団です。同様の場合、ある特定の目的にのみ集合した自由、換言すれば無秩序な集団が、目的以外の何らかの規律の下で行動する、そういった事例が思い浮かびません。

おそらく、誰かが片付ける、或いはその原資にもなる罰金、税金、入場料を含む何らかの強制性を導入する以外解決できないのではないでしょうか。同時に冷却効果も期待できますし。

さて、このような仮装というキーワードのみで繋がれたハロウィンの群集に対し、博報堂出身の地元渋谷区区長や、センター商店街振興組合理事長から批判の声が上がっています。
「許せない」渋谷区長 ハロウィーン有料化など対策検討へ
「ハロウィンではなく変態仮装行列」激怒の渋谷センター街理事長「来年は禁止に」「放置すればテロに繋がる」
”ハロウィンではなく...”の文言に”じゃ、本物のハロウィンって?”という疑問が過るのですが、それはさておき、これまで地域振興や商機と捉え便乗してきたのでは、という面は否めないのではないかと。

ハロウィンセールで売上を上げて、あわよくば聖地化の皮算用もあったはずです。秋葉原に倣って。ハロウィンという実体のないイベントに日本全国が浮かれる中で、渋谷を日本ハロウィンの聖地として観光名所化する、そんな思惑があったであろうことは容易に推測できます。

そういう助平心を棚に上げ批判の声で覆おうとしても、今更感が漏れ出てきています。断固排除の姿勢を示さない限り、渋谷のハロウィン騒動は沈静化と過激化を繰り返しながら、今後も続いていくものとみています。

翻って、名古屋では栄オアシスの状況が地元テレビ局やNHKのローカルニュースで流されていました。これを指して
”名古屋では混乱はなく”はともかく、”モラルがある”、”マナーが守られている”は大きな勘違いです。単に群衆の規模が小さかったに過ぎません。


ハロウィン騒動に代表される群集心理が、民主主義で言う処の民意と通底していないことを強く願っています。

尚、同日の報道で天皇の退位、新天皇の即位、新元号の発表や長期の連休等の話題が件のハロウィン騒動と共に報道されました。恰も同質のイベントとして扱っているような印象すら抱き、そういったメディアの姿勢に強い違和感を覚えました。残念です。

2018年11月3日土曜日

冷却

―あるところから徴する―
これが徴税の原則なんでしょう。故くは酒税やタバコ税が該当し、最近ではデジタル課税なんてものが検討されていたりします。

でですね、先日のハロウィン騒動を見聞していて仮装課税というものがあってもいいんじゃないかと。ついでに歩きスマホ税も提案しておきます。

消費税の増税分に充当できるような気がしないでもありません。

2018年10月8日月曜日

分岐

平日午後一時半頃。20台以上は停められそうな店前の駐車場は満車。少し離れた第二駐車場に停めました。名古屋市に隣接した市に在る、郊外の鰻屋です。

何店か支店を出している店のようで、店内には空き待ちのスペースがあり、席は半個室風で、多くの店員を擁した大店でした。

で、綺麗というか美味そうに印刷された品書きというよりメニューからうな丼定食(特)を選択しました。この丼の”定食”という以外に丼を選べないのも理解し難かったのですが、最も鰻が少なくて安価で(特)というのも違和感がありました。では、(特)は鰻1/2匹で何を意味するのだろうと。特価?特別?特上に対する特並とか...これではもはや”特”の意味がありませんけど。

メニューには右から(特、(極み)、(特)と記載されているのも混乱を催させます。鰻が多くなるに従い、(特上=2/3匹)、(極み=1匹となるようですがこの序列にはなっていませんでした。(特上)が筆頭=お薦めという意味なんでしょうか。

そんなあれこれを思いつつ、特段、瀬戸 田代のような鰻(大)の1/2匹を期待したわけでもなく、まぁ、”鰻を食べた”という満足感が得られれば十分、そんな心持ちでした。

配膳された定食(特)は、丼、汁物、小鉢、香の物に後ほど冷菓といった構成でした。丼は蓋なしですか、まぁいちいち指摘しても致し方ないことです。

まず目についたのは鰻で覆われていない白飯の余白部分ですが、1/2匹ですから勿論承知しています。ただそれ以上に鰻の細さ、貧弱さが気になりました。

ここの処、熱田あたりの有名店でも鰻の細さを指摘する声が上がっているようですが、シラス鰻不漁が具現化しているのでしょうか。

丼の並を注文して白飯の余白部分が目につく、即ち鰻の量云々を言うつもりは毛頭ありませんが、鰻の身が薄いのは頂けないなぁと。注文したのはではなくですけど、特がそれを意味するのであれば理解はできなくもありません。そういう店なんだと。接客が丁寧で小鉢やデザートがつく定食の体を装って肝心の丼がこれでは...却って不満が残ります。もっと鰻に心を砕くべきなんじゃないか、というのが率直な思いです。

上述したように品書きは、縦書きで右に「うな丼定食」とあって左端に料理の写真があって、その間に右から左方向に(特上)、(極み)、(特)と並べてあります。ただ、これは必ずしも鰻の量(=価格)の順にはなっていません。その順に並び換えれば(極み)、(特上)、(特)となります。1)この並びの意味する処に加えて、2)(極み)、(特上)、(特)という表記について少し考えてみます。

これらが店側のどういった意図を以って為されたものなのか、実際の処はよく判りませんが、推測、想像の域内で勘ぐってみます。


1)レイアウト


通常、(極み)、(特上)、(特)と並ぶ処、(特上)、(極み)、(特)と、(極み)と(特上)の位置が入れ換えられています。これはおそらく(特上)か(極み)、いずれかの選択へ誘導しようという意図の現れではないかと。では、そのどちら?、と問われても回答は見つけられていませんけど。

等級が三段階、例えば、[上・中・下]、[特上・上・並]、[松・竹・梅]とある時、人は中、上、竹といった中間の等級を選ぶ傾向にあるのはよく知られています。四等級以上の選択肢では、それ以上に最高等級から二番目が選ばれがちです。

これを踏まえれば、(極み)、(特上)、(特)と並んでいれば(特上)を、(特上)、(極み)、(特)であれば(極み)を選好する、そういった意図がこの配置に込められていないだろうか、と思った次第です。勿論、各々には価格鰻の量のついても記載がありますから、あくまで直感的な選好についての話です。

ただ、上述の(特上)、(極み)、(特)といった並びだけであれば(極み)が選好され易いわけですが、ここに「うな丼定食」という料理名との位置関係が選択に影響を及ぼす可能性も排除できません。

例えば下図のような二つの品書きがあった時、よく目にする並びはおそらくAではないでしょうか。
総称(とんかつ定食)を掲げ、代表性の高い順、概ね価格順に各料理が配列されています。とんかつ定食を注文しようとして、典型的だったり人気のある、換言すればハズレのない無難な料理は、Aの品書きではロースカツ定食である、ということです。一方、Bの品書きでは上ロースカツ定食がとんかつ定食の代表の位置に配置されています。

とんかつ定食の何か一つを注文しようとした時、料理の選択が自身の意志に委ねられるのは至極当たり前のことですが、この時、より正統的、一般的な料理にしようとすれば実は筆頭にある料理に誘引されることになります。

品書きAではロースカツ定食が、Bでは上ロースカツ定食が直感的、優先的に選択されているのではないでしょうか。本人の意志に加え、品書き中の料理の配列も選択(=自身の意志)に影響を与えているだろうということです。

これら二つの品書きA、Bにおける、ロースカツ定食、上ロースカツ定食に対する選好性の定量的評価は興味深い部分であり、ダン・アリエリー教授によ解析を願うばかりです。

うな丼定食も同様に考えられますが、”[上・中・下]の中、中間の等級を選択”と、”よりハズレのない代表的なものを選好”のいずれが支配的であるのか、残念ながらよく判りません。ただ、そういった要因で(特上)と(極み)、実際の注文数に差が生じることもあるだろうという話です。
今後、更なる検証が必要であるのは言うまでもありません。


2)表記

各丼の表記による序列が直感的に判じ辛く、店の意図を推し量れないことも少なからずあります。既に記したように、該鰻屋の場合では、(特)(特上)(極み)の表記です。(並)(上)特上)と意味する処は同じなんでしょうが、(特上)から(極み)が繋がりません。[特上大特上]か、[極上上]ならば序列は認識できますが...

”上”を繋げる特と極、更にその冠となる大、最の組み合わせの序列についての認識の曖昧さが理由です。(並)の語の使用を避けるためなんでしょうが、判り難くさの方が上回っている感がありますスタンダード、ミドル、デラックス、スーパーデラックス、アッパー、ハイクラス、ハイグレード、プレミアム、プライム、エグゼクティブの判り難くさと同じです。

特定のどれか一つに誘導する意図がないならば、いや、たとえ該意図があったとしても、やはり判り易い表記の方が好ましい、と考えます。わざわざ並を特と称して妙な期待感を抱かせるよりで構いません。或いは”標準”でも...[・上・特上]とか、”並”の語を避けるならば[鰻丼・上鰻丼・特上鰻丼]あたりが適切です。

まぁ、いずれにせよ先ずは並を選びますけど。寿司屋もそうですが、佳い店には十分美味しい並がありますから


話が逸れたまま長くなりました。この鰻屋を訪れて考えたのはそういった品書き云々ではなく、鰻丼を口にした時の満足感というものは店の規模に逆相関するなぁ、ということです。

東京銀座だったり、名駅の高層商業ビル内への出店、街道沿いの広い駐車場を備えた和風調鉄骨作りの店舗、そういった支店が増えれば増えるほど...品書きは写真付きのメニューへと変貌します。視覚で食欲が刺激されますが、店舗前を通って煙や香りで引き寄せられることはありません。

店内では和服様の制服を着用したパート従業員が丁寧に接客をし、会計はクレジットカードでの支払いができ、ポイントカードの作製を勧められることすらあります。

書き連ねていて、そういった鰻屋で旨い店が思い浮かびませんし、イメージもできません。決して不味いわけではないのですが、”美味しい鰻を食べた”という十分な満足感にまで至らない、そんなことがこれまでもありました。

支店など出すな、従業員を入れるなと言うつもりは毛頭ないのですが、少なくとも東京、大阪の繁華街や駅ビル、デパートにテナントとして出店している鰻屋はなぁ、と。クレジットカードが使えるなどもっての外です。

こういった鰻屋はもはや店ではなく会社です。事業として鰻丼を提供している、といった印象を抱きます。そこに職人は居るのでしょうか。

当初は個人経営の一つの店だったはずです。何が事業会社へと進ませ、或いは個人事業として留まらせたのかは存じません。ただ、鰻屋は事業ではなく生業としている店の方が佳いと確信しています。

誤解を避けるために、これは”儲けるな”という主旨では断じてないことを申し添えておきます。

さて、このような捻くれた見方を鰻屋だけでなく飲食店全般に当て嵌めてみます。