2021年7月6日火曜日

引力

どこが?と問われても上手く説明できないのですが、見入ってしまい、幾度となく見ている動画です。


2014年のブルース・スプリングスティーンのコンサート中の一場面です。YouTubeにアップされています。ブルース・スプリングスティーンがファンの女性をステージに招いて、"ラストダンスは私に(Save the Last Dance for Me)"を、女性の手を取りながら唱っています。

彼女の驚きと戸惑い、そして僅かな躊躇が入り混じりつつ、嬉しさが溢れ出ている映像です。夢が現実になった幸福感が真っ直ぐに伝わってきます。

それが何故好印象を抱かせるのかよく解りません。ただ、"Save the Last Dance for Me"で同時に検索された、リチャード・ギアの映画"Shall We Dance?"の一場面より心惹かれたのは確かです。


元々、較べることがおかしいとの指摘はその通りですが、あえて考えてみますと現実感の差でしょうか。視覚や聴覚を含む五感に伝わってくる誰かの幸福感は、受け止める側の心をも動かすだろうと。ただやはり、その幸福感のリアリティの差異は、動かす力の大きな差として現れるわけです。それがまさしく事実の力です。事実と創作、現実と虚構、ノンフィクションとフィクション三次元と二次元では、心情に働きかける力は比較になりません。

その力を利用して、折々に事実を織り込んだ創作の典型がNHKの大河ドラマだったり、山崎豊子作品だったりするわけです。

それが何か?と問われて、云々返す意図はありません。しかしながら、創作者の技巧によって虚実が逆転して虚が実として一人歩きを始める、これには危うさを感じます。これは実は、創作者にとっては冥利に尽きる話かもしれませんが、制する力、阻む力が不在というのも問題ではないかと考えます。


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