2024年10月19日土曜日

扮装

粉飾、矯飾というか、候補者の扮装とでも言えば良いのか...

第50回衆議院議員総選挙の選挙戦が10月27日の投票日に向けて始まっています。
各候補のチラシが新聞に折り込まれて届きました。どれも名前、顔写真、これまでの経歴や実績、政策、政治理念といった構成です。

で、最初に目につくのが顔写真なわけですが、うーん、老若男女問わずメイクとライティング、修正がてんこ盛りです。異様に色白の女性候補の微笑みとか、血色の良すぎる70代男性候補とか...毛髪の量も違わないか?

写真にこれだけの加工が施してあると、記してある文言は果たしてすっぴんなのか、疑念が払拭できません。

ところで、自民・公明の低所得世帯への10万円給付と、石破首相の公約である最低賃金1500円の実現って両立する政策なんでしょうか。志向する方向がチグハグに思えるのですが。

まぁ、一方がポピュリズムに由来する選挙対策で、他方が風呂敷、若しくはアドバルーンということであれば理解はできます。

2024年10月13日日曜日

建付

 ─今日はこれぐらいにしといたるわ─

池乃めだか師匠かと思いました。大川原化工機事件、プレサンス事件やらで権威と信頼の瓦解が進む中、落ちていく瓦を手で押さえようとすると、こういった物言いになるのかと。

袴田事件の再審で、静岡地裁が下した無罪判決に対し、検察が控訴権利を放棄したことを受けての検事総長談話です。

談話中に、

他方、改めて関係証拠を精査した結果、被告人が犯人であることの立証は可能であり、にもかかわらず4名もの尊い命が犠牲となった重大事犯につき、立証活動を行わないことは、検察の責務を放棄することになりかねないとの判断の下、静岡地裁における再審公判では、有罪立証を行うこととしました。

とありますから、再審公判前は袴田氏が犯人であるとの考えです。これが、静岡地裁の判決を受けて、

本判決は、その理由中に多くの問題を含む到底承服できないものであり、控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容であると思われます。

を経て、最終的には

袴田さんが、結果として相当な長期間にわたり法的地位が不安定な状況に置かれてきたことにも思いを致し、熟慮を重ねた結果、本判決につき検察が控訴し、その状況が継続することは相当ではないとの判断に至りました。

なりました。要約したものが冒頭の文言のわけですが、もう少し考えてみます。

2024年10月8日火曜日

暗渠(2)

前のエントリから続けて、”騙り”、”なりすまし”の法的規制について考えてみます。それらは巷間に溢れていて、詐欺に繋がる広告や悪質セールスの手段として利用されています。

堀江某、前澤某の名前を騙った投資詐欺広告に対する憤慨がこのエントリの端緒ですが、ジャーナリストの池上氏、経済評論家の森永氏の名前や画像を使ったなりすまし詐欺広告もあるようです。

9/24付の日経新聞は、証券会社の名を騙った偽広告を取り上げています。2023年8月以降で累計約一万件の偽広告がフェイスブック上で配信されていたとのこと。6月に経産省と総務省がメタに改善を求めた結果、現在、そういった詐欺広告は表示されなくなったようです。ただ8ヶ月近くに渡って投資詐欺に繋がる偽広告が野放し状態であったことが問題視されていました。

つまり、投資詐欺へと誘導するなりすまし広告には、著名な個人の名前だけでなく、証券会社に代表される法人名も使われているということです。

ただ、単になりすましということでしたら、それはもう、SNSに留まらずありとあらゆるコミュニケーションツールに蔓延しています。

E-メールであれば、ヤマト運輸、三菱UFJ、三井住友カード、アマゾン、アップル等、宅配業者、金融証券、ネット通販、ITと様々な業種からログインを促すメールが送られてきます。

SMSでは佐川急便が”御不在でしたので荷物を持ち帰りました”と...

最近は携帯電話にもNTTファイナンスやNTTドコモから自動音声で着信がありました。

固定電話に着信するオレオレ詐欺はそれこそ完全ななりすましですし、錯誤へと誘導する悪質セールスも少なくありません。最近、特に多いのは中部電力を装った電話です。一時期多かった携帯や光回線といった通信関係は減ってきた印象です。その通信系のセールス要員が電力系セールスに流れたのでしょうか。中電を装う、或いは錯誤させる電話は実に多いです。勿論、話は最後まで聞いていませんが、様々な商材を使っているようです。

これまで、中部電力の(点検をしている{架空の部署}/申請をしている{別会社})から中部電力の料金が安くなるという名目で様々なセールス電話がありました。

節電トランス/エアコン/LED照明/エコキュート/新電力などです。あまりに中部電力の...、中部電力の...と煩いので某新電力に切り換えました。(通信は通信でNTTの...、NTTの...と煩かったので既に切り換えています。)

ここで上記コミュニケーションツールから接触があった際、どの時点から被害が発生するかをみてみます。

1)SNS詐欺広告ではその後LINEによる多対一の閉じたコミュニケーション環境に誘導されて金銭を含む有価物を送金して被害が発生します。

2)E-メールでは受診した詐欺メールをクリック、要求されたID、パスワードを入力した時点で被害が発生します。アカウントが乗っ取られクレジットカードや銀行口座の情報が盗まれる、なりすましによる商品購入などでしょうか。

3)SMSは2)と同じです。

4)固定電話に着信するオレオレ詐欺の場合は金銭の送金、或いは手渡しです。

5)固定電話に着信するセールスは全てが詐欺、悪質セールスというわけではないでしょうが、いずれにせよ契約とか送金して被害発生となります。

上記を較べてみると1)より2)〜5)の方が被害発生までのプロセスが少ないことが分かります。1)では詐欺広告と被害発生の間に営業というプロセスが入りますから。

つまり、SNS投資詐欺広告より2)〜5)の方がより被害を被る確率が高い、ということです。加えて、1)のSNS投資詐欺広告の場合、自らの意志で広告をクリックして詐欺へと誘導されていくわけです。一方、2)〜5)は自らの意志に関わりなくというかお構いなしにコンタクトしてきますから、その点で迷惑や不快の程度は圧倒的に1)を上回ります。

これらを鑑みると、SNSのプラットフォーマによる詐欺広告への対応以上に、2)〜5)の詐欺、悪質セールスへの対策が喫緊の必要であると考えます。

現状はどうでしょうか。個々人様々な環境下でコミュニケーションツールを利用していますから一律の安全性評価はできません。あくまで自分の環境に限った話ですが、一般的?な環境からそれほど外れてはいないと思っています。

2)E-メールの場合、フィッシングメール、ウィルス等の被害が想定されます。ただ昨今、Gmailに代表されるウェブメールのスパム(詐欺)メールの検出・隔離機能、プロバイダのアンチウィルスオプション、アンチウィルスソフト、OS自体のセキュリティの性能向上が犯罪被害の防止にかなり効果的に寄与していると思います。

個人としてGmailの検出・隔離機能にかなりの信頼を置いているというか、おまかせ、というのが実の処です。これまで受信した様々なスパム(詐欺)メールが迷惑フォルダに自動で隔離されました。これまでフィルタをすり抜けたスパム(詐欺)メールは、一件あったか、なかったかといった程度です。この機能におんぶに抱っこというのが実情ですから、このフィルタをすり抜けて受信したスパム(詐欺)メールに適切に対応できるか、自信はありません。しばしば、”メールに記されたリンクは踏まない”ことが推奨されていますが、URLを記したメールは余りに多すぎ、又、その利便性から反射的に該URLにアクセスしてしまいます。この部分、自覚がないわけではありません。被害を被りそうなスパム(詐欺)メールとしては、

a)Gmailの検出・隔離フィルタを突破

b)フィッシングメールによくあるアカウントの停止や個人情報流出等、不安を煽る文言ではなく、メンテナンスの告知、受注確認、欠品の連絡といった日常的に受信するメールです。

こういったメールの場合、必要に応じ記されたリンク先にアクセスしてしまいます。特に、口座への入金通知ですとログインして残高照会してしまいますから、上記フィルタを通過する入金通知を装った詐欺メールは、極めて危険なわけです。自身が振り込む場合であれば自覚がありますが、思いがけない、失念していた入金通知の詐欺メールは果たしてURLをクリックしないでいられるか、心許なさを感じています。幸いなことにこれまでの処、受信していませんが。

このような詐欺メールに対してできることといえば、記憶できないパスワードを使うこと程度しか思いつきません。以前にも記しましたが、それから進捗していないのが実の処です。

SMSについては、以前、Eメール以上に詐欺被害を被る危険に晒されていると考えていました。無作為に生成される電話番号宛に宅配便の不在通知を送信された時、SMS記載のURLをクリックしない自信がありません。詐欺SMSであることを認識して、反射的にクリックしてしまう動作を押し留められるか疑問です。この場合も、上記と同じく記憶できないパスワードを使うことが対策でしょうか。

ただ、最近ですがそういった詐欺SMSを全く受信していません。 キャリヤの迷惑SMSのフィルタが適切に機能しているのでしょうか。今、設定を確認してみましたが、なりすましSMSの拒否と、迷惑SMSフィルターの強度が標準(初期設定)になっていました。Eメールの場合、着信した詐欺メールは迷惑メールフォルダに隔離されるわけですが、SMSではそういったフォルダが見当たりません。ですから詐欺メッセージが着信しないようにキャリヤでブロックされているのか、そもそもブームが下火になって発信されていないのか判りません。おそらく大量の詐欺メッセージが各々の端末に着信しないようにブロックされている気がします。

いずれにせよ、現状では詐欺メッセージを受信していないので、取り敢えずSMSを介した詐欺被害を被る危険は低減されているものと思われます。


追記していきます。

2024年9月23日月曜日

暗渠

依然、燻り続けています。解決の兆しすら見えません。

実業家?事業家?の堀江某、前澤某が、自身の名前を騙ったSNSの投資詐欺広告を野放しにしている件で、米メタ社に対し激しい憤りの念を顕にしました。未だ怒り醒めやらず訴訟にまで発展しているとのこと。

そのこと自体は全くご尤もな話で共感します。自分の名を詐欺という犯罪行為に使われれば不愉快極まりないのは間違いありません。ただ、この憤慨の着地点というか出口の予測については難しいものがあります。このまま収束することなく、定期的に憤懣を吐き出す姿が報じられる形で不毛な状態が延々と続いていくような気もします。

通底した、或いは類似の事例を挙げながら少し考えてみます。

最初に、より深刻で喫緊の対応が求められている事案です。以前、

子どもを狙う盗撮・児童ポルノの闇

という調査報道がNHKスペシャルで放送されました。該番組の後編では”アルバムコレクション”というアプリを介して児童ポルノが売買されている?されていた?実態が報道されました。どうやらパスワード認証機能を有する写真や動画の共有アプリを利用しているようです。売り手は犯罪性のあるコンテンツをこのアプリを介して投稿、買い手はパスワードを購入する形で該アプリからコンテンツを閲覧、若しくはダウンロードする仕組みのようです。

このアプリはAppストアや、おそらくGoogle Play他のダウンロードサイトに写真や動画の共有アプリとして公開されている?(いた?)ようです。パスワードの売上は投稿者、アプリの運営元で分配され、該運営元からアプリのプラットフォーマには場所代が支払われる、金の流れはそんな処かと。

関係者は、コンテンツの投稿者、購入者、アプリの運営元、プラットフォーマでしょうか。匿名性を高めるために決済に仮想通貨が利用されているのであれば仮想通貨の取引仲介者も構図の一端を担っていることになります。

で、問題はこの犯罪性のあるコンテンツの流通を撲滅する手立てはあるのか、という話です。上記番組でも手詰まり感が漂っていました。

番組冒頭では大手プラットフォーマを批判的に描いていますが、特に該アプリとの関係を報じたわけではありませんでした。コンテンツの投稿者、購入者からのコメントもなく、これはおそらく取材できなかったためでしょうか。被害者は取り上げられいて、その深刻な被害を訴えていましたが、ただそれが該コンテンツ流通の抑止や撲滅にどう寄与するのか、疑問でした。最も時間を割いて追求を受けていたのはアプリ運営の過去の関係者です。しかしながら、該アプリは既に譲渡済で、詳細についてのコメントはありませんでした。取材側は”管理責任”の語で追求していましたが、これはある分野で始終耳にする道義的責任とか任命責任といった類の印象を否めませんでした。

率直には、既に自らの手を離れたアプリをツールにした犯罪被害について、法的根拠がなく攻撃力の低い言葉で”悪いと思わないのか”と指弾しても蛙の面に水、ということです。よしんば、”悪いと思っています。責任を感じています。”といったコメントが得られたとしても、それが事態を解決に向けて進捗させる一助たり得るとも思えません。

その後、譲渡先である直近の運営者の一人が逮捕されていたり、運営会社を顧客とする会計事務所の担当者が収入についてのコメントが伝えられるも、他の運営者二人は不明と。

総じて、問題提起に留まっていて、手を拱いている感は否めませんでした。結局、振り上げた拳をどこに下ろすかとなって、それならプラットフォーマか、というか現実的にはプラットフォーマ位しか下ろす先が見当たらない、というのが実の処ではないでしょうか。

本来であれば、この違法なコンテンツ(商材)を生み出す犯罪行為の根絶が最優先で、次いでこの違法商材を扱う商取引の撲滅、禁止策が講じられるべきです。そういった取り組みがあって、その上で犯罪行為を助長しているアプリやその運営者、プラットフォーマの責任を問い、規制する、というのが順当な手続きと考えます。

確かに、違法商材の取引に利用されることを確信して公開、運営しているアプリの存在は否定できません。しかしながら、該アプリが外形的に適法な写真・動画の共有アプリである場合、最優先に指弾して対応を要求するのは難しいのではないかと。何らかの法的根拠が必要です。プラットフォーマであればなおさらです。

需給関係に依拠した商取引の環境を提供している適法なアプリやプラットホームを、違法商材の取引実態があるという理由で対応を求めたとしてもそこに実効性はあるのか、という話です。法的根拠が不十分なまま、道義的理由で経済活動に介入するのは法治社会からの逸脱です。理不尽、不透明な人治社会を連想させます。

この構図は、そのまま薬物取引のそれにも合致するわけですが、話を戻して冒頭の投資詐欺と比較してみると違いに気づきます。児童ポルノや薬物取引の場合、その取引商材自体が既に違法なわけです。取引自体は一般的な経済行動であっても犯罪結果の売買ですから。

一方、投資詐欺の場合、一連の過程の中で犯罪は後から発生します。最初の騙り広告が表示された時点では詐欺事件もその被害も発生していません。犯罪が未然のまま防止できる可能性があるということです。投資詐欺は、フェイスブックに代表されるSNSに、著名人を騙った投資の勧誘広告が表示され、この広告からコンタクトした顧客(いわゆるカモ)がLINEによる多対一の閉じたコミュニケーション環境へと誘導されて始まります。ここから金銭、若しくか仮想通貨のような有価物を送金して犯罪行為、犯罪被害の発生となります。その後、口八丁やら架空の利益を餌にカモから身ぐるみを剥いでいくと。そんな流れでしょうか。私の理解です。

従って、詐欺被害が発生する前にいくつかの立ち止まる機会があるわけです。詐欺グループ側がカモを立ち止まらせない、客観的な判断をさせないような仕掛けをいくつも用意しているのは記すまでもありませんが。

SNSやらプラットホームからの勧誘や誘導の結果、金銭を賭けて初めて犯罪行為と認定される、オンラインカジノのケースも同じです。

つまり投資詐欺だろうが、違法賭博だろうが、送金するまで犯罪は発生していないということです。

この視点から、上記ネットを介した児童ポルノや違法薬物の売買、ネット広告を利用した投資詐欺やオンラインカジノの犯罪性を較べてみれば、より悪質で喫緊の対応が求められているのが前者であることは明白です。

冒頭のように著名人がインタビューを受け、自身の名を騙ったSNSの投資詐欺広告で被害を訴えることは、幅広い層から共感を得られるでしょうが、あくまで犯罪発生の入口、端緒の話です。そういった入口を作らせないことが犯罪防止に必要であることは勿論です。ただ、それでも衆目を集める入口の防止策ではなく、一線を超え既に深刻な被害が発生している犯罪に対する対策が優先されて然るべきと考えます。

犯罪性のある児童ポルノが未だネットを介して取引されているわけです。十分ではないとしても、その撲滅対策の一つとしてのプラットフォーマによる排除ですら進んでいない現状において、それに先んじてプラットフォーマが騙り広告の規制に乗り出すことは到底期待できません。

そうなると法的環境を整えてプラットフォーマに管理というか取締を強いるという話になります。実際、上記児童ポルノの調査報道では番組内で、

巨大IT企業GAFAによる、デジタル市場の独占に厳しい目を向けてきたEUでは、おととし(2022年)、児童ポルノなど、違法な情報の削除対応や、未成年の保護を義務づける法律が新たに成立。2023年、イギリスでも同様の法律が成立した。ともに、違反した場合は、企業側に制裁金が課されることになった。
EUや英国の例を取り上げていました。ただこの規制は大手プラットフォーマGAFAやXの本拠地が米国ですから、欧州が常套的に用いる域外への
難癖、嫌がらせの意味も多分に含んでいると感じます。必ずしも純粋な欧州の正義、倫理に依拠した取り組みではないと思います。

オリンピック採用スポーツのルール変更、環境保護を理由にした内燃機関自動車の撤廃宣言、独禁法を利用した欧州域外IT企業への締め付け、に類似した印象を拭えません。

まぁ、動機はさておき外形的には番組の趣旨には沿っていますから”EUや英国では既に...”と先進的な取り組みの例として使えるわけです。米国では、

そして、プラットフォーム企業の本拠地アメリカでも、その責任を問う声が急速に高まっている。
とありますから、未だ立法化はされていないようです。この辺りに他所(米国企業)に規制を強いる欧州と、自国の企業に規制を担わせなければならない米国との差異でしょう。因みに日本の場合は、欧州ほど傲慢ではないか、或いは、米国(企業)に強く物申せない、といった処かと。米国プラットフォーマを狙い撃ちして規制を強いることになりますから

そういった点も鑑みれば、繰り返しになりますが、児童ポルノの取引についてプラットフォーマに規制を義務付ける法制化ですら時間がかかりそうです。であれば、プラットフォーマへの騙り広告の削除義務付けはまだまだ遠い先の話になりそうです。

下記リンクは、冒頭の実業家?事業家?の米メタ社に対する憤慨が話題になった直後頃の記事です。

米メタ社が「日本をなめている」のは、単に日本にEUなみの強力な法律がないからだ

これはその通りなんですが、先述の児童ポルノ取引におけるEUや英国の取り組みと同じ構図です。その目的もおそらく純粋な利用者保護というより域外企業に難癖をつけて課徴金をせしめる、ではないかと。で、該記事により日本国内の法的規制の遅れが問題であることは分かりましたが、米国の取り組みについては見つけられませんでした。こちらも、米国プラットフォーマを規制する法整備が米国に先んじて日本でできるのか、甚だ疑問です。米国で何らかの規制が確立し、それに準じ日本での規制が実現する、というのが妥当な流れではないでしょうか。

当面、野放し状態が続くとみています。

次に、”騙り”、”なりすまし”に着目して考えてみます。


次のエントリに続けます。

2024年9月22日日曜日

主水

ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!

を観出しました。深川まひろの、表の社会適合性と裏の立ち回りが、仕事人シリーズの中村主水と、なんだか重なります。中村主水は定職に就いていましたが...

どうでもいい話でした。

2024年9月21日土曜日

交換

日本の水産物の輸入再開と日本人学校の男児死亡は「無関係」 中国外務省・毛寧報道官がコメント

これだけあからさまでも”無関係”と強弁。関係を肯定することは、即ち、非を認めて取引に応じたことになってしまうから
かもしれません。関係についての説明も求められるわけです。

どんな天秤ばかりで釣り合いをとったのか、興味深い処です。

2024年7月8日月曜日

興行

巷間、〇〇味のカレーとカレー味の〇〇、若しくは赤いきつねと緑のたぬきからの選択と囁かれていた東京都知事選が予想通りの結果となって終わりました。

現職が圧倒的に有利というこんな結果は、火を見るより明らかでした。突発的な事件、事故さえ起こらなければ、ですが。

ただそれでは、選挙を興行として報じるメディアの立場からすれば、コンテンツとして全くつまらないわけです。そこで、対立候補の人気に下駄を履かせて、現職との優劣が拮抗している体を装って、一つの文明的?な戦争エンターテイメントに仕立て上げようとする姿勢が容易に見て取れます。

もう少しナントカカナランノカ、というのが率直な処です。

上記の現職が圧倒的に有利というのも、

全てがハズレのくじの中でどれを選択するかとなった時、損失が最小となるくじを選びたいわけです。そうなると、計り知れない未知の損失より、損失が既知である現職を選ぶ

まぁ、当然の行動原理です。

変わることによる好転を期待させる人材とまでは言わないものの、相変わらず人材の枯渇を実感させる選挙でした。

2024年4月28日日曜日

座礁

当面、緩和的な金融環境が継続する──

 日銀 植田総裁会見“円安 物価の基調に大きな影響なし

いずれ政策金利は上がるわけです。更なる円安に歯止めをかけるため、追い込まれての利上げかと。

そうなると、乱発した国債の利払い負担は増え、株式市場を支えるために野放図に買い貯めたETF価格は下落します。勿論、売却もできませんし。利上げ前後に売買すればマッチポンプというか官製の相場操縦です。

この辺りと円安進行を天秤にかけて”利上げやむなし”の環境が整ったというか、追い込まれての利上げになるかと。

1992年のポンド危機を思い起こさせます。この時は英ポンドの欧州為替相場メカニズムからの離脱、変動相場制への移行が一つの転機となりました。

円は既に変動相場制です。意図的に嵩上げされた実態との乖離をソフトランディングで補正できるのでしょうか。

2024年4月10日水曜日

真逆

国策放送局として如何なものかと。

4月からNHKの朝ドラ”虎に翼”の放送が始まりました。本邦初の女性法曹をモデルにしたドラマです。NHKは定期的に朝ドラでテーマとして取り上げてきました。男女の格差が甚だしく、それが当然とされていた近代で社会で、ヒロインがその差別に堪え、乗り越えて職業婦人として自立していく人生を描いたドラマです。

正対して観てはいないものの、

お母さんの言う通り、結婚は悪くない、とはやっぱり思えない。なぜだろう。親友の幸せは願えても、ここに自分の幸せがあるとは到底思えない。

婚姻制度について調べれば調べるほど、心躍るどころか心がしぼんでいく。結婚がいいものだなんて思えない。吹き込まれてなんていない。

といった台詞を耳にしたわけです。それは、改正前の制度に対して発せられた言葉でしょうが、婚姻制度、更には該制度を含めた家制度の否定です。正確には”旧来の”とか”当時の”といった接頭語がついた、限定的な否定ではあります。しかしながら、視聴者の共感は該接頭語は容易に消し去ります。元々、そういった説明もありませんでしたし。

それは、法改正後の現代においても、旧態依然とした家制度が慣習として、或いは空気として未だ連綿と受け継がれていることを意味します。

現代の、脚本家や演出家を含むドラマ制作の関係者が、自らが置かれている現在の社会環境を全く踏まえることなく、近代の社会環境やその当時の女性の心情を客観的に描くことができるのか、甚だ疑問です。過去と現在はリンクしていて、現在は過去から創り出されます。過去は現在からの類推と記録を元に、”おそらくこうだっただろう”、”こうだったに違いない”と形成されるわけで、過去と現在の間に分断はありません。ましてや、フィクションですから、現在を踏まえた過去の脚色、演出となるのは当然です。

現在の空気が全く関与せずには上記台詞は創出し得ず、換言すれば、上記台詞から旧家制度の空気というか、痕跡は依然として現代に残存しているということを窺わせます。

それは例えば、

a)皇位継承者は男系男子でなければならない

b)女性・女系天皇も認めるべき

c)女性・女系天皇もやむを得ない

といった各々の立場から過去を脚色すれば、該台詞は三者三様の文言になるだろう、ということです。ちなみに、DNAの塩基配列とかAIが継承しても構わない、という声もあるわけですが、それは又別の話です。

以前、

アンという名の少女

というカナダCBCとNetflix共同制作のドラマがNHKから放送されました。L・M・モンゴメリ作『赤毛のアン』(1908年発表)をベースにしたドラマです。該ドラマでは、人種差別、同性愛、先住民迫害、女性の自立といった先鋭的なテーマが盛り込まれていました。これこそが、ある思想、信条の下、現代の視点で過去を脚色した典型です。朝ドラ”虎に翼”が実際の事実とどれほど乖離してドラマ化されているのかは存じませんが、間違いなく歪変が施されているとみています。(”アンという名の少女”がカナダ政府の逆鱗に触れたか、物議を醸して尻切れトンボ的に制作終了となったようです。)

上記家父長制は制度としてはなくなり、該制度に依る慣習も未だ残っているものの徐々に薄れてきた印象ではあります。ただ、男女の格差については、

アングル:女性は男性より約3割安い、英金融大手の賃金格差

は最近のニュースですし、そういった話は古今東西至る所に転がっています。女性の自由と権利のために性差別の撤廃を求めた

ルース・ベイダー・ギンズバーグ

連邦最高裁判事の言葉も記憶に新しい処です。


さて、それでは本題に入ります。ようやくです。

下の図は明治32年から平成21年までの出生数と出生率(人口1000人あたり)の推移です。引用元は厚労省の

です。以降のデータも上記リンク先のものを使います。

図1 出生数・出生率(人口千対)の年次推移 - 明治32~平成21年 -

第一次ベビーブーム、第二次ベビーブーム時に出生率の若干の増加は認められますが、出生率は既に大正9年辺りから減少傾向にあります。第一次ベビーブームは敗戦の、第二次ベビーブームは第一次ベビーブームの影響ですから、戦争がなければ出生率は一貫して漸減していたとの推測も妥当な処でしょう。


2024年4月2日火曜日

暴言

「県庁というのは、別の言葉で言うとシンクタンクです。毎日、毎日、野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりとか、あるいは物を作ったりとかということと違ってですね、基本的に皆様方は頭脳、知性の高い方々です」
静岡県の川勝平太知事が今年の入庁職員への訓示として語った言葉です。この言葉が職業差別、身分差別として批判を浴びています。

権力者が齢を重ねると、歯止めが効かないというか、言葉を呑む、堪える力が低下します。その典型かと。下手に飲み込むと誤嚥性肺炎を引き起こすのかもしれません。

ただ、自身も含めてパブリックサーバントであることを踏まえれば言い様があるだろうと。この頭脳、知性がアレな方を、頭脳、知性が高い方々がトップとして担がなければならないわけです。気の毒以外の言葉が見つかりません。
「県庁というのは、野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりとか、あるいは物を作ったりと、直接的、具体的に経済活動に関わることは殆どありません。そういった活動が円滑、効果的に行われるよう支援するのが役目です。従って、ともすると”何もしていない、経済的な価値を生み出していない”といった厳しい目があることも忘れてはなりません。そのような見方、批判を跳ね返すべく、必要とされる県庁、求められる県庁を目指して職務に邁進することを願います。」

こんな感じでどうでしょうか。本来、支援だけでなく、主導、指導もあるわけですが、それらを飲み込んで支援の語で括るのが大人というものではないでしょうか。 

上記を記していたら、丁度”辞意表明”のニュースが流れてきました。新入職員の訓示一発で辞意というのもよく解りませんが。確かに、訓示の内容は差別的です。辞任も妥当かと。ただ、”新人職員に対する訓示という挨拶”に問題発言があって、それで辞任ということなら、これまでも辞任に相当する問題発言、失政は数限りなくあったはずです。

関連は不明ですが、リニア開通における懸案事項が解決に向けて動き出したのは間違いありません。

さて、上記”何もしていない、経済的な価値を生み出していない”についてです。経済活動に関して、実際の処、県庁が直接的、具体的に寄与することはないはずです。インフラ整備、企業誘致、税制優遇、補助金、技術導入といった形で主導、支援することはあっても企業経営に直接に関わっているという話はほとんど知りません。大阪市だか大阪府が関西電力の大株主になっている、程度です。

そうなると気になるのは、公務の価値というか公務が生み出す価値です。

2024年3月3日日曜日

愚弄

ちょっと、ドジャース 大谷の結婚報道について記します。報道そのものには、特段思う処はなく、まぁ、”おめでとうございます”で片付く報道でした。

この報道を見聞したのは2/29(木)のニュースウオッチ9でした。21:00から放送のNHKの全国ニュースで、その中でトップニュースとして扱われ、結構な時間を割いて報道でした。その後、岸田総理が政倫審に出席、答弁した報道が続いたわけです。当然、該報道の時間は、大谷の結婚報道によって切り詰められていました。

このタイミングについての”見えざる力”については、別途論考するつもりですが、本エントリではNHKによるこれら報道に対する姿勢について記します。

上記ニュースの取り扱い方からすれば、NHK側が位置付けたニュースバリューは明らかに、

大谷の結婚報道>>岸田総理出席の政倫審

であるのは間違いありません。”大した答弁内容ではない”NHKが判断したとすれば、この序列になるのかもしれません。ただ、一人の超人気野球選手の結婚と、自国の総理大臣によるウラ金問題についての答弁を天秤にかければ、どちらが重要であるか、いちいち記さなければならないのも情けない話です。 

多くの与党代議士事務所による、政治パーティ収入のウラ金化に関わるニュースが連日報道されています。それらを束にしても、野球選手の結婚の方を優位に報道すべき、というのがNHKの認識ということになります。

このNHKの認識が、”視聴者である日本国民は、自国の政治問題より野球選手の結婚の方がより高い関心を寄せる出来事だから”という理由によるものであれば、どうにも視聴者を愚弄した姿勢です。上から目線で、

──政治の話より大谷の結婚の方が知りたいニュースでしょ──

という押し付けに他ならないわけです。

或いは、政倫審における岸田総理の答弁に視聴者が関心を寄せているのを承知の上で、敢えて大谷の結婚報道を上位に扱ったのか。それはそれで、みなさまのNHKとしては

──視聴者のみなさまには大谷の結婚報道の方が重要です。そちらに関心を寄せて下さい。──

といった意図の表れなのか...それは誘導であり、NHKによる国民の白痴化です。

健全な民主主義の発達に資する

これが放送の担う重要な責務であるならば、何を優先して報道すべきは自明ですが...有料の国策放送であればこういった番組の構成も首肯できてしまいます。

2024年2月5日月曜日

荷担

他に方法はなかったのか、と。これではプリンタのビジネスモデルに自ら穴を開けるようなものです。互換インクの認容までではないかもしれませんが、結果として認容に荷担する力が生じています。

かつて米国の髭剃りメーカであったジレットに端を発する消耗品ビジネスこそがプリンタメーカのビジネスモデルであり利益の源泉です。(ジレットは現在、米国日用品メーカであるP&Gのブランドになっているようです。

”使ってもらって収益を得る”、これはプリンタ本体(髭剃り本体)の販売による収益性より消耗品であるインク(替刃)で利益を得るモデルです。場合によっては損失も受け入れ、とにかく本体販売数の増大を目指し、広く普及した後割高にも映る消耗品で投資を回収、持続的に利益を伸ばしていくわけです。

リース契約でオフィスに導入したコピー機の、コピー枚数に応じた課金制も、持続的に収益を得ていく上記モデルの一態様です。

このモデルの是非を云々する意図は特段ありません。実際、現在使用しているインクジェットプリンタ、カラーレーザプリンタでは、プリンタメーカによる純正インク、純正トナーを選択しています。

ところが、昨年年末の話です。使用頻度が年にニ、三度と数少ないインクジェットプリンタを使う機会が訪れたわけです。エプソンのPM-D870という年代物です。現在、主として使用しているのはカラーレーザプリンタであって、この程度のインクジェットの使用頻度ではとても新機種に更新する気にもならず使い続けています。

当然、該使用頻度ではインクノズルが詰まっています。今回は特に詰まりがひどいようで、ひたすらヘッドのクリーニングを繰り返しました。見る間にインクが減っていきます。

(結局、ヘッドクリーニングの繰り返しでは解消できず、エプソンのサイトを参照しプリンタを一晩休ませたら解消しました。

その後、ヘッドクリーニングで大量にインクを消費しましたから、追加でインクカートリッジを入手しようとした処、面倒な事態に遭遇した次第です。

インクカートリッジの一部商品の仕様変更について

必要なインクカートリッジの品番(IC6CL50)を確認した際、上記リンクに行き当たりました。なんでもカートリッジに使用している電子部品が入手不可となり仕様が変更になった旨、記載がありました。これがまたややこしいわけです。

IC6CL50はインク六色のセット製品で、

黒:                ICBK50
シアン:            ICC50
マゼンタ:          ICM50
イエロー:          ICY50
ライトシアン:      ICLC50
ライトマゼンタ:    ICLM50

といったインクで構成されています。これが各々、

黒:                ICBK50A1
シアン:            ICC50A1
マゼンタ:          ICM50A1
イエロー:          ICY50A1
ライトシアン:      ICLC50A2
ライトマゼンタ:    ICLM50A2

に変更されるとのこと(朱の文字色は分かりやすくするためです)。これだけであれば後継品を使えばいいわけでどうということはありません。ところが、この後継品を使うことで様々な問題が発生することがわかりました。インク残量が少なくなった時、これまで表示された”インクが少なくなりました”は表示なしになり、インク終了時の”インク残量が限界値を下回りました。”が”インクカートリッジを正しく認識できません。”になるようです。それだけならまだしも、更に説明を読み進めると、現在使っているPM-D870は本体のファームウェアの更新が必要になる場合があるそうです。

本体のファームウェア更新について

上記のプリンターにて変更品のインクカートリッジをご利用の際は、本体のファームウェアの更新が必要となる場合がございます。
お客様ご自身での更新作業はできません。
「引取修理(ドアtoドア)サービス」にて、お客様のプリンターをお預かりのうえ、当社サービス拠点にてファームウェアの更新作業を行います。
なお、更新に掛かる作業費、および、本体の配送に掛かる費用は無償で対応いたします。

引取修理って...このことを知ったのは12月28日です。これではプリンタが手元に戻ってくるのは年を越えたエプソンの正月休業明けです。ファームウェア更新の要不要は、PM-D870で現在使用しているファームウェアのバージョンに依るとのことで調べてみると、

2006年発売プリンターの一部における、本体のファームウェア更新について

該当していました。ファームウェアの更新を行わない限り上記後継品のインクが使えないことが分かりました。更にサイトの説明によれば、ファームウェアを更新しても後継インクのライトシアン、ライトマゼンタは使用できないとのこと...使用可能なインクは別途エプソン直販限定で販売って...いやいや、こっちは追加のインクカートリッジを購入して直ぐにでも印刷したいわけですよ。何せ12月28日です。

結局、現在使っているPM-D870ではファームウェアの更新が必要で2色のインクについてはエプソンの直販でしか入手不可ということです。

そうなると、それ程の手間と時間をかけて純正に拘る必要もありません。家電量販店にズラッと並んでいる互換インクを購入して無事用件を済ませた次第です。

元々、純正インクの継続生産を困難にした電子部品は、カートリッジ内のインク残量の管理に使われていただけでなく、互換インクの製造を制限するような役目も担っていたのでは、と想像しています。プリンタメーカにとって互換インクは苦々しいことこの上ないはずですから。

その部品が入手困難になって、つまりそれが仇となって、純正インクから互換インクの選択へと舵を切らせる結果となった、というのもなんだか皮肉な話です。

ところで、冒頭に記した、このビジネスモデルの端となったジレットですが、互換替刃は販売されていたのでしょうか。ジレットの髭剃り本体に適合するジレット以外の他社が製造した替刃です。インクジェットプリンタの互換インクやレーザプリンタの互換トナーほど互換品が氾濫しているようには見えません。アマゾンで検索してみると、確かに以下のような注釈を記した互換替刃は販売されているようです。

【警告イベント】交換用ブレードはジレット製品ではなく、ジレット社の正規品でもありませんのでご注意ください。本製品はジレットとの併用に適していますが、ジレットがスポンサーまたは承認したものではなく、関連ブランドでもありません。

ただ、それでも少数です。プリンタの互換インク、互換トナーほど一般的に出回っているようには見受けられません。価格はいわゆる純正品の1/2〜1/3にも拘らず、です。

収益性の差、プリンタの互換インク、互換トナー事業は儲かるが、髭剃りの互換替刃は儲からない、というのが合理的ではあります。もう少し掘り下げてみます。

その前に、これら互換インク、互換トナー事業はエコとかリイサイクルといった語を散りばめていたとしても、フリーライドであることには間違いない、と考えています。技術の幅広い自由な利用を制限する特許法から、自由で公正な競争を担保する独禁法からの二つの視点があることは承知しています。純正インクによる市場の独占は認められない、というのが法的な現状と捉えています。

さて、髭剃りの替刃とプリンタのインク、トナーの大きな違いは後者のカートリッジの存在です。これが互換インク、互換トナー事業への参入を許すことになった最大の理由です。

消耗品とは言え、消耗したのはカートリッジ内のインクやトナーであってカートリッジはまだ使える、それならインクやトナーを補充すればいい、というのが互換品出現の発端かと。又、当初、上記カートリッジには残存インクを管理する機能が付与されておらず、形状が該当プリンタに適合する当にインクの容器だった記憶があります。この容器を模倣して製造することは現在より困難ではなく、このことも互換インク市場の拡大に繋がったはずです。(トナーについてはおそらく複写機に使用されてきた互換トナーからの話になって事情がやや異なります。)

して、互換品を純正品の1/2〜1/3の価格に設定しても事業として収支が合う、という揺るぎない事実が根底にあるわけです。換言すれば、消耗品であるインクの利益をプリンタ本体の開発費他の損失に充てるビジネスモデルとは云え、インクを購入する側の立場からすればこの上なく高額な消耗品という印象が否めない、ということです。

互換インクメーカがフリーライドで跋扈する隙は、ここに生まれています。勿論、プリンタメーカがこの状況を指を加えて黙っている訳はなく、これまで特許訴訟等でフリーライドの排除を試みてはいるものの、必ずしも上手くいっていないのが実状です。

家電量販店で見かける互換インクの氾濫がその証左です。特許法で保護される技術の独占と、独占禁止法に依拠する公正な競争のせめぎ合いの具現化が見て取れます。必ずしも上手くいっていないのが実状です。現在、この綱引き状態は互換インク側が優勢ですが、この状態が永続していくものなのか興味深い処です。

実際、価格が同じであれば互換インクより純正インクを選択する、これは間違いない原則です。従って、純正インクの価格を互換インク並に設定すれば互換インクは確実に一掃されます。全くの同一価格ではなく、ある程度であれば互換インクとの価格差は許容され、ユーザーは純正インクを選択すると考えます。その程度は不明ですが、現在の互換インク価格の2〜3倍の純正インク価格が手放しで受け入れられていないのは明らかです。

どの程度の価格差になるとユーザーは互換インクから純正インクへ、純正インクから互換インクへと乗り換えるのか、明確な線引きはできません。以前の経験(成功/失敗)や評判、私用/公用、使用頻度といったユーザーの多様な属性が選択を左右するであろうことは記すまでもないことですから。そうであっても、選択の自由の下、価格や信頼性、性能を考慮した結果であることには相違ないはずです。

ここで少し横道に逸れて余計なことを記します。

類似の話は至る処に転がっていて、少し前に家電量販店の冷蔵庫や洗濯機といった生活家電エリアを訪れてみた際、国内メーカの製品と海外(中国)メーカの製品がコーナを隔てて展示してありました。両者のサイズや機能は全く重なっているわけではなく、単身、夫婦二人、大家族向け等、対象としている購入者層の棲み分けがざくっとできているようでした。それでも重なる製品も多く、そうなると同クラスの製品で[日立、パナ]、[三菱]、[東芝、シャープ]、[ハイアール、ハイセンス他海外メーカ]といったグループが何を理由に選択されるのか、といった話に行き着きます(アクアの位置付けは今ひとつ判じかねています)。極端には、[日立、パナ]を選択する購入者が[ハイアール、ハイセンス他海外メーカ]に選択を転じることはあるのか、あるとすればそれはどういった条件なのか...

故障して機能不全に陥ると生活に不便を来す、白物と称される冷蔵庫、洗濯機といった生活家電と、生活の娯楽的質を豊かにする、黒物と称されるAV機器で事情が異なるのは確かです。現時点では、白物についてはやはり耐久性、信頼性の観点から[日立、パナ]、[三菱]、[東芝、シャープ]が優先的に選ばれている印象です。壊れると面倒な事態になる白物では価格より信頼性や不具合時の対応が選択の優先条件になっているのが現状かと。

そこから遡って、かつて日本国内で薄型テレビの大画面化競争が激しかった時期がありました。液晶テレビだけでなくプラズマ方式のテレビも競合品として共存していた頃です。その辺りからポツポツとサムソンやLGの液晶パネルを採用してテレビに仕上げた製品が市場に出回り始めた覚えがあります。低価格で大型の液晶パネルを海外から入手することで大画面テレビを製品化する障壁は大きく下がる、と聞いていました。

そういった割安な大画面テレビに国内の有力AV機器メーカはどう対抗したか。明らかに不要と思しき機能を付加したり、信頼の日本製障壁は大きく下がる、と聞いていました。


そういった割安な大画面テレビに国内の有力AV機器メーカはどう対抗したか。明らかに不要と思しき機能を付加したり、信頼の日本製とかカメヤマモデルといった語で安価品との価格差を埋めようとしました。3Dテレビなどという筋悪もありました。何処に行ったのでしょうか。


この辺りから国内の有力AV機器メーカの凋落が始まりました。シャープは現在台湾資本の会社となり、東芝は粉飾やら原発やら様々な理由で満身創痍、テレビ部門を中国資本に売却しています。現在国内で販売されているテレビは、組み立てメーカーを問わず、その基幹部品である液晶パネルの殆どは中韓メーカからの調達品です。とかカメヤマモデルといった語で安価品との価格差を埋めようとしました。3Dテレビなどという筋悪もありました。何処に行ったのでしょうか。

この辺りから国内の有力AV機器メーカの凋落が始まりました。シャープは現在台湾資本の会社となり、東芝は粉飾やら原発やら様々な理由で満身創痍、テレビ部門を中国資本に売却しています。現在国内で販売されているテレビは、組み立てメーカーを問わず、その基幹部品である液晶パネルの殆どは中韓メーカからの調達品です。

これは、単に価格差が支配的要因だっただけではなく、残念ながら価格性能比で大差をつけられて、国内液晶パネルの開発製造が総崩れとなった結果ではあります。

白物は低価格品に抗って、未だ国内メーカが踏ん張れているというのが現状でしょうか。黒物はOEM品とまでは言いすぎですが、中韓メーカからの基幹部品の組み立て製品ですから選択の理由が不明確になってしまいました。

更に、選択理由としての価格について話を飛躍させます。

上記、プリンタのインクや白物家電では主たる目的(印刷/洗濯、冷蔵等)がほぼ同程度でも、付随する信頼性(純正、互換/国産、海外製)と価格のバランスが購入者の選択理由でした。

ではこれを拡張して合法/違法ではどうでしょうか。


(追記していきます)