2014年8月16日土曜日

教訓

相変わらず、他所の痛みはわからないということでしょうか。これまでの事例も、他山の石とはならなかったようです。

しゃぶしゃぶ木曽路3店の松阪牛、実は無銘柄牛
周回遅れで時流に乗ろうとしたのか、新たな偽装ブームの口火を切ることになるかは知りませんが、思ったところを脈絡なく記します。

木曽路のHPからダウンロードできる公表資料によれば、例えば北新地店では2012年4月から2016年7月末までの2年以上にわたって無銘柄の和牛を松阪牛、佐賀牛と称して提供していたとのことです。

これは現在判明している事実だけであって、それ以前は偽装はなかったのか、銘柄牛以外のメニュー、その他の店舗では問題はなかったのか、確かな情報は不明です。更なる調査結果の公開を求めたいところです。


ただ、今後どこまで誠実に対応していくのだろうか、不信感は否めません。問題発覚当初、差額相当額の食事券を渡す方針だったとか、HP上の上記公表資料が、

メニュー表示と異なった食材を使用していたことに関するお詫びとお知らせ(PDF)[更新日 2014.08.14]

とPDFファイルをダウンロードしなければ閲覧できない仕組みであるのに対し、

木曽路の基本方針(厳選された上質なお肉他)

木曽路の安全に関する取り組み(木曽路は安心・安全・信頼を守り続けます)
は全く変更されることなく、依然目立つ位置にリンクが設けてあります。


こういった基本方針、取り組みの下、本問題が生じたわけですから、これまでの姿勢も今後の対応も空疎に思えてしまいます。真摯にHPのトップページで大々的、明瞭に説明すべきではないでしょうか。偽装謝罪かと、かえって心証を悪化させないとも限りません。

更に付け加えれば、ぐるなび、ホットペッパーといった飲食店のポータルサイトでは、
厳選された全国の名高い産地の国産牛肉と旬の素材を活かした日本料理をお楽しみ下さい。
木曽路こだわりの国産霜降和牛は絶品
波風一つない平常運転が続いています。

幅広いサイトで一気に誠実な姿勢を示し収束を図る方が得策ではないでしょうか。

で、本偽装が組織的な行為なのか、単に料理長個人の行為なのかといった部分が注目されます。
仕入れや在庫管理を各店の料理長だけに任せ、確認を怠った
 いや、多数の店舗を抱えるチェーン店ならば、料理長に一定の権限と責任を持たせなければ店舗の運営など無理でしょう。後を絶たない企業のマネージャークラスの横領事件も個人の犯罪です。

問題は、あくまで個人の私欲のための行為なのか、個人をそういった行為に駆り立てる何かが木曽路にあったのか、或いは、全く組織的行為だったのか、ではないでしょうか。

各報道では
――店の利益を増やすためにやった――
とされています。

一方、
しゃぶしゃぶ木曽路、"松阪牛は偽装でした"詳報!謝罪会見の一部始終
では経営側から、
――特に動機としては聞いていないが、「原価の調整のため」という料理長の言葉があった。――
――北新地店はそれほど大きく業績が悪い店ではなかった。――
――3店舗のうち恒常的に悪い店はそんなに多くない。――
との発言がありました。

いや、動機はちゃんと聞けよ、と思います。場合によっては横領かもしれませんし、おそらく接待、同伴が利用の主であろう北新地の店で、
客は松阪牛のしゃぶしゃぶ目当てじゃない。接待相手、同伴相手に”あなたに十分なおもてなしをしていますよ”と、”松阪牛”というレッテルを食べに来るだけだ。どうせ味の違いなんてわかる連中じゃないからもったいない。別のそこそこの肉を出しておけばいい。その方が会社の利益に貢献するし...
もあるかと...船場吉兆の場合と同じ構図です。

勿論、経営側からの偽装へと走らせる程の利益に対する圧力も十分想定できます。

偽装前後の真の売上、利益、在庫、注文詳細の比較で偽造によってどれだけの暴利を得たかがヒントになるかもしれません。


ところで、上記謝罪会見によれば実際に提供されていた牛肉は、
――黒毛和牛の5等級のリブロース、サーロイン。当社の中では一番高いグレードの肉だ。――
――世の中では最高グレードとして取り扱われている肉だ。――
――木曽路の店舗で提供しているのは、非常に上質な肉。味の面では大きな差はない。――
だそうです。

このあたりの和牛特選霜降り肉で無銘柄ということはあるのでしょうか。有名ではないもののそれなりに肥育に注力している産地の和牛でなければA5等級を獲得できないような気がしますが...

いずれにせよ、夜席が会合、宴会、接待、同伴に利用される高級しゃぶしゃぶ店です。やまがき畜産や関屋の和牛で十分満足している鈍舌の私には勿体無い飲食店でしょう。霜降り、特撰、松阪といったキーワードとは無縁です。

木曽路は名古屋に本社があります。愛知県内には店舗も多くかつて訪れた飲食について発言する愛知、名古屋のブロガーも少なくないはずです。

そんな中、
木曽路の肉

というエントリしか見つからないのは寂しさを禁じえません。

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