前のエントリから続けて、”騙り”、”なりすまし”の法的規制について考えてみます。それらは巷間に溢れていて、詐欺に繋がる広告や悪質セールスの手段として利用されています。
堀江某、前澤某の名前を騙った投資詐欺広告に対する憤慨がこのエントリの端緒ですが、ジャーナリストの池上氏、経済評論家の森永氏の名前や画像を使ったなりすまし詐欺広告もあるようです。
9/24付の日経新聞は、証券会社の名を騙った偽広告を取り上げています。2023年8月以降で累計約一万件の偽広告がフェイスブック上で配信されていたとのこと。6月に経産省と総務省がメタに改善を求めた結果、現在、そういった詐欺広告は表示されなくなったようです。ただ8ヶ月近くに渡って投資詐欺に繋がる偽広告が野放し状態であったことが問題視されていました。
つまり、投資詐欺へと誘導するなりすまし広告には、著名な個人の名前だけでなく、証券会社に代表される法人名も使われているということです。
ただ、単になりすましということでしたら、それはもう、SNSに留まらずありとあらゆるコミュニケーションツールに蔓延しています。
E-メールであれば、ヤマト運輸、三菱UFJ、三井住友カード、アマゾン、アップル等、宅配業者、金融証券、ネット通販、ITと様々な業種からログインを促すメールが送られてきます。
SMSでは佐川急便が”御不在でしたので荷物を持ち帰りました”と...
最近は携帯電話にもNTTファイナンスやNTTドコモから自動音声で着信がありました。
固定電話に着信するオレオレ詐欺はそれこそ完全ななりすましですし、錯誤へと誘導する悪質セールスも少なくありません。最近、特に多いのは中部電力を装った電話です。一時期多かった携帯や光回線といった通信関係は減ってきた印象です。その通信系のセールス要員が電力系セールスに流れたのでしょうか。中電を装う、或いは錯誤させる電話は実に多いです。勿論、話は最後まで聞いていませんが、様々な商材を使っているようです。
これまで、中部電力の(点検をしている{架空の部署}/申請をしている{別会社})から中部電力の料金が安くなるという名目で様々なセールス電話がありました。
節電トランス/エアコン/LED照明/エコキュート/新電力などです。あまりに中部電力の...、中部電力の...と煩いので某新電力に切り換えました。(通信は通信でNTTの...、NTTの...と煩かったので既に切り換えています。)
ここで上記コミュニケーションツールから接触があった際、どの時点から被害が発生するかをみてみます。
1)SNS詐欺広告ではその後LINEによる多対一の閉じたコミュニケーション環境に誘導されて金銭を含む有価物を送金して被害が発生します。
2)E-メールでは受診した詐欺メールをクリック、要求されたID、パスワードを入力した時点で被害が発生します。アカウントが乗っ取られクレジットカードや銀行口座の情報が盗まれる、なりすましによる商品購入などでしょうか。
3)SMSは2)と同じです。
4)固定電話に着信するオレオレ詐欺の場合は金銭の送金、或いは手渡しです。
5)固定電話に着信するセールスは全てが詐欺、悪質セールスというわけではないでしょうが、いずれにせよ契約とか送金して被害発生となります。
上記を較べてみると1)より2)〜5)の方が被害発生までのプロセスが少ないことが分かります。1)では詐欺広告と被害発生の間に営業というプロセスが入りますから。
つまり、SNS投資詐欺広告より2)〜5)の方がより被害を被る確率が高い、ということです。加えて、1)のSNS投資詐欺広告の場合、自らの意志で広告をクリックして詐欺へと誘導されていくわけです。一方、2)〜5)は自らの意志に関わりなくというかお構いなしにコンタクトしてきますから、その点で迷惑や不快の程度は圧倒的に1)を上回ります。
これらを鑑みると、SNSのプラットフォーマによる詐欺広告への対応以上に、2)〜5)の詐欺、悪質セールスへの対策が喫緊の必要であると考えます。
現状はどうでしょうか。個々人様々な環境下でコミュニケーションツールを利用していますから一律の安全性評価はできません。あくまで自分の環境に限った話ですが、一般的?な環境からそれほど外れてはいないと思っています。
2)E-メールの場合、フィッシングメール、ウィルス等の被害が想定されます。ただ昨今、Gmailに代表されるウェブメールのスパム(詐欺)メールの検出・隔離機能、プロバイダのアンチウィルスオプション、アンチウィルスソフト、OS自体のセキュリティの性能向上が犯罪被害の防止にかなり効果的に寄与していると思います。
個人としてGmailの検出・隔離機能にかなりの信頼を置いているというか、おまかせ、というのが実の処です。これまで受信した様々なスパム(詐欺)メールが迷惑フォルダに自動で隔離されました。これまでフィルタをすり抜けたスパム(詐欺)メールは、一件あったか、なかったかといった程度です。この機能におんぶに抱っこというのが実情ですから、このフィルタをすり抜けて受信したスパム(詐欺)メールに適切に対応できるか、自信はありません。しばしば、”メールに記されたリンクは踏まない”ことが推奨されていますが、URLを記したメールは余りに多すぎ、又、その利便性から反射的に該URLにアクセスしてしまいます。この部分、自覚がないわけではありません。被害を被りそうなスパム(詐欺)メールとしては、
a)Gmailの検出・隔離フィルタを突破
b)フィッシングメールによくあるアカウントの停止や個人情報流出等、不安を煽る文言ではなく、メンテナンスの告知、受注確認、欠品の連絡といった日常的に受信するメールです。
こういったメールの場合、必要に応じ記されたリンク先にアクセスしてしまいます。特に、口座への入金通知ですとログインして残高照会してしまいますから、上記フィルタを通過する入金通知を装った詐欺メールは、極めて危険なわけです。自身が振り込む場合であれば自覚がありますが、思いがけない、失念していた入金通知の詐欺メールは果たしてURLをクリックしないでいられるか、心許なさを感じています。幸いなことにこれまでの処、受信していませんが。
このような詐欺メールに対してできることといえば、記憶できないパスワードを使うこと程度しか思いつきません。以前にも記しましたが、それから進捗していないのが実の処です。
SMSについては、以前、Eメール以上に詐欺被害を被る危険に晒されていると考えていました。無作為に生成される電話番号宛に宅配便の不在通知を送信された時、SMS記載のURLをクリックしない自信がありません。詐欺SMSであることを認識して、反射的にクリックしてしまう動作を押し留められるか疑問です。この場合も、上記と同じく記憶できないパスワードを使うことが対策でしょうか。
ただ、最近ですがそういった詐欺SMSを全く受信していません。 キャリヤの迷惑SMSのフィルタが適切に機能しているのでしょうか。今、設定を確認してみましたが、なりすましSMSの拒否と、迷惑SMSフィルターの強度が標準(初期設定)になっていました。Eメールの場合、着信した詐欺メールは迷惑メールフォルダに隔離されるわけですが、SMSではそういったフォルダが見当たりません。ですから詐欺メッセージが着信しないようにキャリヤでブロックされているのか、そもそもブームが下火になって発信されていないのか判りません。おそらく大量の詐欺メッセージが各々の端末に着信しないようにブロックされている気がします。
いずれにせよ、現状では詐欺メッセージを受信していないので、取り敢えずSMSを介した詐欺被害を被る危険は低減されているものと思われます。
追記していきます。